新卒採用の競争が激化している現代において、中小企業は大企業よりも新卒採用が難しくなっているといわれています。この記事を読んでいる人の中にも、中小企業の採用担当を任されてうまくいかずに困っていたり、不安を抱えていたりする人がいるでしょう。そこで今回は、中小企業の採用担当者向けに役立つ情報をお伝えします。
採用時に直面しやすい問題や採用を成功させるためのコツを併せてチェックしていきましょう。
・中小企業の採用を担当している人
・採用がうまくいかずに困っている人
・中小企業の採用を成功させるコツが知りたい人
はぜひ参考にしてください。
採用に苦戦する中小企業が増加中
新卒採用を積極的に行う企業が増えていますが、中小金業は大企業に比べると採用に苦戦するところが多い傾向にあります。企業規模ごとに有効求人倍率をまとめた表を作成したので、どれくらいの差があるのか確認してみましょう。
卒業年(3月卒) | 従業員数300人未満 | 従業員数5,000人以上 |
2010年 | 8.43倍 | 0.38倍 |
2011年 | 4.41倍 | 0.47倍 |
2012年 | 3.35倍 | 0.49倍 |
2013年 | 3.27倍 | 0.60倍 |
2014年 | 3.26倍 | 0.54倍 |
2015年 | 4.52倍 | 0.55倍 |
2016年 | 3.59倍 | 0.70倍 |
2017年 | 4.16倍 | 0.59倍 |
2018年 | 6.45倍 | 0.39倍 |
2019年 | 9.91倍 | 0.37倍 |
2020年 | 8.62倍 | 0.42倍 |
2021年 | 3.40倍 | 0.60倍 |
(第37回 ワークス大卒求人倍率調査(2021年卒)一部抜粋)
有効求人倍率は、1以下の場合に採用がしやすい状況だと判断できる指標です。しかし、上表を見ると従業員数300人以下の会社は例年3倍以上をキープしています。2021年は前年の8.62倍から大きく下がってはいるものの、それでも大企業との差は歴然です。
中小企業が採用で抱える課題
採用に苦しみやすい中小企業ですが、どのような課題を抱えているのでしょうか。この章では、中小企業が採用で直面する課題について詳しく見ていきます。
課題①採用にあまりコストをかけられない
いくら良質な体制の中小企業でも、大企業ほど採用に資金を投じられないのが現実です。マイナビの調査によると、上場企業が採用に充てる費用の平均は約1,200万円であるのに対し、非上場企業は約370万円という結果も。
投じた資金の大きさで新卒採用の成功が決まるわけではありませんが、採用費用に余裕がない場合は効率を考えて採用活動を行うようにしましょう。
課題②大企業よりも知名度が低い
大企業だと特にプロモーションしなくてもすでに就職活動者に会社の存在を知られていますが、中小企業の場合、なかなかそうもいきません。会社名を知っている人がいても大企業に比べれば頭数は少ないですし、事業について詳しく知っている人も多くはないでしょう。
そのため、就活サイトに募集要項を出しても、名が通った企業の求人に埋もれてしまう可能性があります。多くの人に認知してもらうよりも、入社してくれる確率が高そうな人をしぼってアプローチしていけるかどうかが鍵になるといえるでしょう。
課題③採用にあまり時間をさけない
中小企業の採用担当者は、採用活動以外にも人事管理や労務管理などさまざまな業務を任されていることが多いもの。そのため、大企業と比較すると、中小企業は採用にあまり時間をさけないことも少なくありません。
採用活動は素早くレスポンスしなければ、優秀な人材を取り逃してしまうケースも多いため、慢性的な人手不足で悩む中小企業は、採用活動の際、時間を確保できるようにすることが大切です。
課題④内定を辞退する人が多い
面接が終わって内定を出しても、後から応募者が辞退することもあります。原因はいろいろありますが、6月~8月の間に辞退された場合は大企業とのバッティング、それ以降の時期は会社自体に問題があると考えられます。
採用活動では自社の強みや弱みをきちんと入社予定者に伝えて、適切なコミュニケーションを取ることが大切です。
採用に成功する会社・採用がうまくいかない会社の違いとは
中小企業は大企業に比べ採用活動が厳しい状況ですが、中にはうまく採用活動ができている中小企業も存在します。
例えば、中小企業の多くはハローワークで採用活動をしていますが、就活の王道は就活サイトに登録していろいろな会社をチェックしてエントリーシートを提出する、というもの。
パソコンやスマホで就活するのが当たり前になっている現代では、ハローワークだけで採用活動を成功させるのは難しいといえるでしょう。自社の都合だけでなく、求職者の都合に合った採用活動を検討することが大切です。
中小企業が採用で成功するために意識したいポイント
採用活動を成功させるためにチェックしておくべきポイントをいくつか紹介します。
できるだけ採用エリアを広げる
中小企業の中には採用エリアを限定するところもありますが、できるだけ幅広く考えた方が採用の成功率は上がります。
例えば、地方に住む学生は都市部の学生よりも、大企業志向が低いことが分かっています。(マイナビ2021年卒大学生就職意識調査)都市部に絞った採用活動がうまく行かずに困っているなら、地方へのアプローチに方針変更してもいいかもしれません。
アプローチするターゲットをしっかり決める
募集の際、「良い人材が欲しい」というだけでは基準がぼんやりしていて、採用活動が成功しづらくなることもあります。まずは自社を分析し、どのような人材が会社に必要か検討してみましょう。このとき、できるだけ具体的な条件を考えるのがポイントです。
効果的なアプローチ方法を考える
採用活動のアプローチとしてオーソドックスなのが就活サイトへの登録ですが、この他にも人材紹介サービス、中小企業限定の合同説明会、SNS採用、リファラル採用など、さまざまな方法があります。「周りの会社がやっているから就活サイトに登録する」ではなく、自社に合った最善のアプローチ方法を選択できるかが重要です。
採用ツールを整える
採用ツールと一口にいっても、種類は豊富です。
例えば、自社専用の採用ホームページを作成したり、業務内容を伝える動画を投稿したりするのも良いでしょう。
ターゲットへ効果的にアプローチするのに適したツールを選択することが大切です。
まとめ
今回は、中小企業の採用担当者が直面しやすい問題や採用活動を成功させるためのコツを紹介しました。解説した内容をまとめると以下の通りです。
・人材採用に苦戦する中小企業が増えている
・大企業よりも知名度が低かったり、コストや時間を掛けられなかったりするのが原因
・求職者のニーズに合った採用活動を考えることが大切
大企業に比べると中小企業の採用活動は難しい状況にありますが、成功している企業ももちろんあります。今回紹介した内容を参考に、自社の採用活動を検討してみましょう。
<参考>