新型コロナウイルス感染症の拡大により、就活生の就職活動スケジュールも大きな変化が求められてきました。
ウィズコロナ、アフターコロナにあたる2022年、2023年の新卒採用においては、企業側はどのような対応が求められるのでしょうか。
今回は、企業側が心得るべき新卒採用のあり方について解説します。
コロナは新卒採用にどう影響した?
まずは、コロナが新卒採用に影響した度合いやスケジュール感について確認しておきましょう。
後ろ倒しになったスケジュール
日本初のコロナ陽性者が出たのは2020年1月16日のことで、3月に例年開催されていた企業の合同説明会はほぼすべて中止になりました。
例年までのスケジュール通りに就活ができなくなった就活生の中には、どうすればわからなかった方も多くいたでしょう。
実は堅調な採用数
スケジュールに大きな変化があった一方で、19年夏頃から開催されていたインターンシップに参加した学生はコロナの中でも内々定や内定を獲得する学生もいました。
リクルートワークス研究所が行った新卒者に関する採用アンケートの結果では、2022年の新卒採用者数は「増える」と回答した企業が7.7%、「変わらない」と回答した企業が45.0%でした。
一方、「減る」と回答した企業は11.6%であり、コロナにより大幅に新卒者の枠を減らす企業は少ないことがわかります。
出典:ワークス採用見通し調査
企業が新卒採用に向けて取り組むべきこと
企業がアフターコロナに向け、新卒採用時に取り組むべきことを解説します。
リモート面接の導入
多くの企業がコロナ禍でリモート面接を行い、採用を行ってきました。
Zoomなどのリモートワークツールによるリモート面接を取り入れている会社は、柔軟な姿勢があると学生からも評価されるでしょう。
一方、旧来の手法でのみ採用を行う企業は、「古臭い企業」として学生から敬遠される恐れがあります。
DHRが行った調査によると、「最終面接前までウェブ面接、最終面接のみ対面」という体制の大手・中堅企業は43.6%にのぼり、「すべてWEB面接」が34.6%と、合計約8割がオンラインによる面接を導入しています。
IT導入が大手企業よりも遅いと言われている中小企業でも、「最終面接のみ対面」とした企業が36.3%、「すべてWEB面接」が17.3%となっており、合計で半数以上が面接をオンライン化しています。
リモート面接に限らず、社会の情勢に対応するフレキシブルな採用体制が求められます。
エントリーやインターンシップは早期実施も視野に入れる
株式会社ディスコが毎年2月に行っている企業向け調査、「2022 年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査」では、採用活動のスケジュールなどに関するアンケート結果が公表されています。
出典:2022 年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査
自社の採用活動の見通しでは、「やや厳しくなる」と回答した企業が約38%存在する一方、コロナの落ち着きを見越してか「どちらとも言えない」と回答する企業も42%以上存在します。
このような企業の姿勢は、面接や内定出しのスケジュール予定にも反映されているようです。
企業のアンケート結果では、一部で面接や内定出しを例年より前倒ししている企業があるようです。
出典:2022 年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査
出典:2022 年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査
もしも例年通りのスケジュールでは採用負担が大きい場合は、前倒ししたスケジュールを予定することもひとつの手です。
引き続き感染症対策の徹底を
当然ですが、コロナが完全に収束するまで、企業側は引き続き感染症対策を徹底する必要があります。
オンライン面接、オンライン採用はもちろんのこと、会社内の情報発信をオンライン上に公開するなど、できるだけ会社の情報が非接触の状態で伝わるような情報発信の体制を整えることも大切でしょう。
また、インターンシップなどで会社に学生を受け入れる際も、感染症対策の徹底などコロナ禍での受け入れ体制を整備することが重要です。
アフターコロナの中で将来へのビジョンをどう示すか
アフターコロナに突入する中での新卒採用は、学生も経済状況の悪化を懸念しています。
このような中では、企業がどのようにコロナによる影響を払拭しようとしているのか、学生にビジョンを示すことが重要です。
IT企業などの一部ではコロナ禍でむしろ業績を伸ばしたところもありますが、多くの企業は苦しい経営状況に立たされています。
学生が持つ将来不安を解消するには、合同説明会や面接、インターンシップなど学生と企業が接触する機会に丁寧に説明することも重要です。
また、企業の採用ページでもこれらのビジョンを発信することが求められます。
まとめ
コロナは世界中を混乱に陥れましたが、一方で人々が思うほど新卒採用に甚大な被害をもたらしたわけではありません。
2020年に引き続きオンラインによるリモート面接などを実施するとともに、必要に応じて合同説明会など各種イベントや内定の前倒しを行うことを検討しましょう。
また、引き続き社内の感染対策を徹底し、リモートワークなどにより社内感染リスクの徹底をはかることも大切です。