DXを進めなくてはいけないと思っている企業の担当者は「DXの必要性は理解しているけれど、どこから始めたらいいのかわからない。」と悩むこともあると思います。
一言でDXといってもその意味は幅広く、何から手を付ければいいのかわからないこともありますよね。
そこで今回は、中小企業がDXを進めるための手順を3つに分けて、各ステップに必要な事項と具体的な進め方を紹介します。
これから本格的にDXを進めようと思っている経営者の方や、社内のDX推進に行き詰まっている人はぜひ参考にしてください。
まずは「電子化」から始まるデジタイゼーション
DX推進にあたってまず必要となるのは、電子化による既存業務の効率化です。
対面や紙面などで行っている業務をデジタル化することを「デジタイゼーション」といい、DXの第一歩はここから始まります。
DXが広まる現代では、いかにスピード感を持って市場についていけるかが、企業が勝ち残る要素になります。
デジタイゼーションの例
デジタイゼーションを進めるためにまずやるべきことは、業務内容を洗い出して効率化できない点を探してみることです。
たとえば、デジタイゼーションには以下のような例があります。
・毎回人の目で確認している書類は、AIを導入して自動チェックを行う
・毎回社内資料を閲覧するために事務所に出社する必要がある場合は、資料をデータ化してクラウドに保存する
デジタイゼーションは日々の業務改善の積み重ね
DXといっても最初から大きなことをやる必要はなく、ちょっとした業務の効率化につながるものから始めることが、DX推進を中途半端で終わらせないポイントです。
まずは日常業務の洗い出しを行い、デジタイゼーションできるものからITツールを取り入れてみてください。
現行システムのクラウド化
電子化が順調に進んできたら、現行のシステムをクラウドに移行することをおすすめします。
経済産業省では、企業において使われているシステムのうち、蓄積された膨大な情報を持ち、情報を整理するのが困難であるものを「レガシーシステム」と呼んでいます。
そしてレガシーシステムがあるために、8割の企業はDXを十分に進められていない、という調査データもあります。
DXを活用して今後の時代の中で生き残るために、システムをクラウド化することは、それほどまでに重要なことだといわれているのです。
<参考>
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリ)
現行システムを刷新するべき理由
では、なぜシステムの刷新がそれほど必要だと言われるのでしょうか。
たとえば、既存で使われている営業支援システムや顧客管理システムなどで、個別のカスタマイズを加え続けたものがあるのではないでしょうか。
さらにデータの量が大きくなりすぎたために、一部の人しか仕様を使いこなせず、マニュアルが十分に整備されていないケースも少なくないでしょう。
このようなレガシーシステムを放置したままだと、デジタル化が進む社会では業務をスピーディーに進められなくなってしまいます。
そして新しいビジネスを生み出せないために、企業競争で生き残れなくなってしまうのです。
システムのクラウド化は早急に進める必要がある
自社のシステムに改善するべき点があるときは、システムのクラウドへの移行を早急に進めすことをおすすめします。
なぜならDXはすぐに終わるものではなく、時間をかけて長期的に進めるものだからです。
現在、部門ごとに違うシステムを使っている場合は、全社でシステムを統一し、同じ情報を全員が閲覧できる状態を目指しましょう。
情報のやり取りがスムーズにできるようになれば、市場の動向を即座に把握して、部門を横断したやり取りがしやすくなります。
自社にシステムやクラウドに明るい人材がいなければ、ベンダーなどIT分野の担当者の協力を仰いでもいいでしょう。
整理した情報をビジネスに活かすデジタライゼーション
電子化とシステムのクラウド化が完了したら、整理した情報をビジネスに活かす「デジタライゼーション」の段階に入ります。
デジタライゼーションとは、クラウド化したシステムにある情報などを使って、自社のビジネスを変えていくことです。
たとえば、営業の進捗報告をクラウドのシステムにして、顧客との商談内容を閲覧できるようにしておけば、現場から上がってきた新たなクライアントのニーズをいち早く見つけられるでしょう。
そこから、自社にしか提供できない新しいサービスを生み出せるかもしれません。
DXでありがちな落とし穴
DXでありがちなのは、業務の効率化や電子化をして「DXをやり切った」と満足してしまうことです。
たしかにDXを進めるために業務の効率化、紙のデジタル化などは必要ですが、本当のDXとは「新しい価値を生み出し売上につなげること」です。
デジタル化して整理した情報から、自社の売上につながるヒントを見つけ出すことが、DXを成功させるためのポイントになります。
そのためには、自社にしか提供できないサービスは何なのか、企業の強みを明確にしたうえで、デジタルツールをどのように使うかよく検討してください。
まとめ
DXを進めるための手順をステップごとにわけて解説しました。
DXというと大きな概念で、達成するためのハードルが高く感じられるかもしれません。
うまく推進するためには、長期的な目線で、スモールステップでできることから試してみることです。
そしてどの段階においても「ゴールは自社の価値を高めること」という意識を持っていれば、DXは成功しやすくなるでしょう。