最近聞く機会が多くなったDX。しかし、本当の意味や必要性を理解している人はそれほど多くないでしょう。
DXは会社の取組や商品、サービス内容を知ってもらうために重要な取り組みです。
そこで今回は、DXがなぜ会社の成長のために必要なのか、優良取組事例とともに解説してきます。
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とはなにか
ここではまず、DXの定義と背景知識を解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義
経済産業省が策定した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」によると、DXは次のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
経済産業省:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)
デジタルトランスフォーメーションはクラウドやモバイル、ビッグデータアナリティクス、ソーシャルなどの要素を軸として、行政や会社がそれぞれ対応することが必要だとされています。
それぞれの基盤は、ITの発展に伴い急激な進化と市場拡大が起こったものであり、昨今変化の激しいビジネス時代において、対応が必須とも言われています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は第三のプラットフォーム
DXは第三のプラットフォームと呼ばれています。
第一のプラットフォームはメインフレームと呼ばれ、大企業の基幹業務に用いられる大型コンピュータのことを指します。
第二のプラットフォームはクライアント・サーバシステムであり、情報などを供給するサーバと、利用者の操作に応えるクライアントを結びつけ、クライアントの要求にサーバ側が応答する仕組みです。
DXはこれらのプラットフォームの次の世代にあたる第三のプラットフォームと位置付けられています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の4要素
DXには①クラウド②モバイル③ビッグデータアナリティクス④ソーシャルの4要素が含まれています。
ここではそれぞれの要素について詳しく解説します。
①クラウド
クラウドはクラウドコンピューティングの略であり、インターネットを通じて提供されるソフトウェアや開発プラットフォーム、インフラストラクチャのことを言います。
最近は様々なクラウドサービスが販売・提供されており、オンプレミス型のシステムに比べてシステムを維持する費用などのコストを大幅に削減できるなどのメリットが得られるようになりました。
②モバイル
モバイルとはスマートフォンやタブレットなどの持ち運びのできるデバイスのことで、近年では多くの人が利用しています。
特にデジタル世代ではPCよりもモバイルデバイスを好む傾向にあり、モバイルユーザーを意識したサイト設計や広報などが重要になっています。
③ビッグデータアナリティクス
商品販売やサービス利用などのビッグデータを解析することで、今まで見えなかった顧客ニーズや事業課題を分析することができるようになります。
ビックデータ解析はビジネス上の競合優位性を獲得しライバルに差をつけるために役立つほか、きめ細かな顧客ニーズへの対応や効率的なマーケティング戦略の策定などにも役立ちます。
④ソーシャル
日本人の約半数は何らかのSNSを利用しており、特に若年層はSNSを中心とした情報収集をしています。
このため、SNSにある潜在的な顧客にアプローチすることはマーケティング戦略上重要です。
DXの取組事例
ここからは、DXの優良取組事例をご紹介します。
マイクロソフトのDX
出典:マイクロソフト
マイクロソフトは言わずと知れたグローバル企業であり、WordやPowerPointなどのOfficeソフトが主力商品となっています。しかし、マイクロソフトはこれらの商品を同じ手法で販売してきたのではなく、販売方法を時代に合わせてアップデートしてきました。
Officeソフトといえば、昔は売り切りでライセンス販売を行っていたり、PCとの抱き合わせで販売するビジネスモデルでした。しかし、今ではOffice365としてクラウドサービスを提供するビジネスモデルに代わっています。
これは販売モデルのDX化ということができます。
ユーザーから見れば特定のPCにソフトをインストールしたり、専用PCを購入する必要がなくなりました。
DX化に成功したマイクロソフトは結果としてさらなるユーザー数を獲得し、収益も向上しています。
AmazonのDX
出典:Amazon
Amazonは元々書籍販売をオンライン上で行い、顧客の元に届けることをビジネスとしていた会社です。
つまり、これまで本屋に足を運ばなければならなかったものをオンラインショップとしてDXし、顧客層を広げてきました。
Amazonのように大規模なものでなくても、現在自社で販売している商品をオンライン上で注文・購入できるようになるだけで大幅な販路拡大が狙えます。
また、販売をオンライン化することで、アナログの営業では難しかった顧客ニーズの把握やその後の評価などをビックデータ解析できるようになり、営業のPDCAを確立することも可能になります。
家庭教師のトライのDX
出典:家庭教師のトライ
家庭教師のトライは大手家庭教師派遣会社ですが、既存の事業をDXによりさらに利用者に使いやすくブラッシュアップしたサービスを開始しています。
「Try IT」では、10代の若者が良く利用するスマートフォンでも見やすい動画を公開しており、1講義15分という短時間でポイントを絞って好きな科目を学ぶことができます。
講義動画は有料版、無料版のものがあり、無料版で集客を行い、有料版の動画でマネタイズをするようになっています。
これまで蓄積された講師陣のリソースを最大限用いたこのサービスは、まさにDXによる新たなコンテンツと言うことができます。
まとめ
これまで見てきたように、DXは事業の販路拡大、新規顧客の創出、営業のPDCA化など様々なメリットがあります。
若年層を中心にSNSを用いた情報収集が盛んになっている中、企業も時代の流れに沿ってDXを推進することが必要不可欠です。
事業の見直しをする際には、既存の事業がDXできないか考えてみましょう。
<参考>
デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン
マイクロソフト
家庭教師のトライ