「ベンチマークという言葉を聞くことが増えたけど、どのような意味があるんだろう?」
「ベンチマークを導入することでメリットとかあるのかな?」
このように悩んでいる企業の担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際にベンチマークは業界によっても意味が異なり、少し難しい概念です。
今回の記事ではベンチマークの概念、種類、導入メリットなどについてご紹介します。合わせて注意点なども解説するので、自社でベンチマーク分析を行う際のご参考にしてください。
ベンチマークとは?
ベンチマークとは日本語で「水準」「基準点」といった意味を持つ言葉で、元は測量などで用いられることが多い傾向にありました。そこから金融業界で「指標」のような意味で使われるようになり、多くの業界でより広く使われる言葉になった背景があります。
実際に経営分野では他社の戦略や状況について指すことが多くなっています。競合他社の戦略や状況をベンチマークとして確認することで、自社の戦略なども練りやすくなるため、自社の課題を見つける際に最適です。
ベンチマークを深く研究することで業界内における自社の立ち位置などを理解できるので、業務や施策について見つめ直す際にも役立ちます。
ベンチマークの種類について
ベンチマークは種類ごとに特徴があり、比較対象とする対象も大きく変わります。そのため、それぞれのベンチマークごとの特徴を把握しておくと、自社で実施する際のイメージに繋げることが可能です。
ここからはそれぞれのベンチマークの種類ごとの特徴について詳しくご紹介するので、自社でベンチマークの分析を実施する際のヒントにしてください。
競合ベンチマーク
競合ベンチマークは他社の事例や戦略を分析対象とし、自社の戦略や経営と比較する手法です。他社と比較するため、一般的な手法としてはこの競合ベンチマークが挙げられることも多くなっています。
他社の成功事例や優れている戦略を参考にするため、自社で新たにマーケティング施策を行う際や、既にある戦略を改善する際に便利です。自社の戦略や施策の改善について煮詰まっている場合は、競合ベンチマークを実施して改善を図りましょう。
内部ベンチマーク
内部ベンチマークは自社内で似ている業務どうしを比較し、経営や戦略を改善する手法です。社内で似ている業務や戦略を比較分析し、より優れている方を共有することで自社で他の戦略を立てる際の参考にすることができます。
内部ベンチマークにより、全社的な業務の標準化や戦略考案の質の向上を図れます。自社内の業務や戦略に関するレベルをさらに高めたいという場合に最適です。優れている戦略やデータは残し、その後いつでも参照できるように体制を整えておきましょう。
機能ベンチマーク
機能ベンチマークは、自社と異なる業界の成功事例や優れた戦略を参考にする手法です。自社と違う業界の事例や戦略を参考にすることで、今まで自社では思いつかなかったアイデアを得ることができます。
競合ベンチマークや内部ベンチマークを行って、さらなる新しいアイデアを獲得したいという場合にも最適です。アイデアが枯渇してしまったという場合は、機能ベンチマークも活用することを視野に入れて改善を図りましょう。
ベンチマークを実施する際の基本的な流れについて
ベンチマークを実施する際の基本的な流れとしては下記の通りになります。
- 自社の現状把握、分析:SWOT分析や3C分析を駆使し、自社の課題点、競合他社と比較した際の現状分析を行う。
- ベンチマークにおける対象の選定:自社の課題点を踏まえた上で競合他社、異業種の企業をベンチマークの対象として選定する。
- ベンチマーク対象への分析:ベンチマーク対象のマーケティング手法や戦略について分析。自社に不足している要素などを中心に細かくチェックする。
- 自社の行動改善:ベンチマーク対象を分析した後は、その結果を洗い出し、KPIなどの目標なども設定しながら自社のマーケティング手法として取り入れる。
- 効果測定:設定したKPIなどの目標を確認した上で実行している施策に対して効果測定を行う。
このように手順をあらかじめ理解した上で効率よくベンチマークに対する分析、自社の行動改善を図りましょう。
ベンチマークを実施するメリットとは?
ベンチマークを実施する際のメリットとしては、自社のマーケティング手法や戦略を広げられる点が挙げられます。競合の優れた手法や戦略を参考にすることが多く、自社のみでは気付けなかったアプローチを見つけることが可能です。
また、他社や自社の手法や戦略を分析することで、自社の課題や問題点について把握することができます。自社に足りない点や、強化すべき点も浮き彫りになってくるので、自社の経営・マーケティングを見つめ直す場合に最適です。
これらのメリットがあるため、自社でのアイデアが枯渇しそうな場合や、マーケティング手法を見つめ直したいという場合は積極的に分析を実施しましょう。
ベンチマークの実践例
ベンチマーク分析を用いて自社の経営や手法を改善するためには、実例がある方が自社で実践する際のイメージがしやすくなります。ここからは架空の情報を用いて実例をご紹介します。
■条件
【業界】ファッション
【ベンチマーク対象】自社と同規模の競合他社であるB社
【調査目的】B社が新たに他社とのコラボ商品の販売や、SNSを活用したキャンペーンを行うという情報が入り、自社も参考にしたいと考えた。
【分析項目】販売商品・戦略、宣伝手法
■査結果
・販売商品としてはB社は漫画とのコラボ商品としてTシャツ、パーカー、リュックなどを販売することが判明した。
・販売戦略として3か月限定の期間限定販売を行い、話題性を集める方向性であることが分かった。
・宣伝手法はTikTokでのキャンペーンを考えており、ユーザーがハッシュタグで共有しやすい話題性のあるキャンペーンを行うことが判明した。
●分析結果
・自社ではコラボ商品を取り扱ったことがないので、話題性を高めるためにも自社でも期間限定コラボキャンペーンを行う。
・他社では販売するアイテムが限られているので、自社でコラボする場合は販売するアイテムを増やしてみる。
・自社のメインターゲットは10代~20代なのでTwitterやインスタグラムの活用も検討する。また、SNS広告の利用も検討しさらにユーザーにリーチする。
ベンチマークを実施する際の注意点
ベンチマークを実施する場合は、他社の事例を参考にするだけではなく、効果測定まで行う前提で行動することが大切です。改善後に行った施策が実際にどのくらいの効果を発揮したのかという点まで把握することで、他の施策にも活かしやすくなります。
また、他社アイデアをそのまま取り込むのではなく、自社ならではの工夫も取り入れることが大切です。ベンチマーク対象の真似をするだけだと、自社の強みを活かせない場合もあるので、あくまでも参考にする程度に考えておくといいでしょう。
ベンチマークの発展的な内容を学べる本について
ベンチマークをより発展させた内容を学ぶ際は「勝ち抜く戦略実践のための競合分析手法」という本がおすすめです。こちらの本では、競合他社に勝つための戦略を立てるテクニックを学ぶことができます。
ビジネスモデル、バリュー・チェーン、製品・サービスの階層ごとに分析する方法、競合の戦略を予測するテクニックなど自社のマーケティングに必須な内容が網羅されています。
豊富な図表、記入事例を用いてテクニックを紹介しているため、学習しやすいのも本書ならではのメリットです。実践に役立つ分かりやすい内容を学びたいという場合は、こちらの本がおすすめになります。
まとめ
今回の記事ではベンチマークの概念、種類やメリットなどについて詳しく解説しました。ベンチマークに対する分析手法には多くの種類が存在しており、それぞれの分析手法の特徴まで把握しておくと自社では思いつかなかったアイデアを生み出すことも可能です。
ただ、ベンチマークを自社で実施する場合は、効果測定まで行うといった注意点も把握した上で改善を図ることが大切です。ただ、参考にするだけではなく、自社の施策を改善するという意識を持って分析に取り組みましょう。