「従業員が定着しない」「従業員のモチベーションが低い」「顧客満足度が低い」こんな悩みを抱えていませんか?その原因は、従業員満足度にあるかもしれません。企業は、顧客満足度には敏感でも、従業員満足度は後回しになりがち。しかし、従業員満足度は企業の業績に影響を与えます。
本記事では、従業員満足度の調査方法や高め方、高めることで得られるメリットなどをご紹介します。
従業員満足度とは
従業員満足度とは、従業員が勤務先企業に対して感じる満足度のこと。ES(Employee Satisfaction)と表されることもあります。ビジネスにおいて「顧客満足度」は重視されるものの、「従業員満足度」を見落としている企業は少なくありません。そして、従業員満足度を構成する要素を把握していないことも多いのが現実です。
しかし、この従業員満足度は、企業経営に大きく影響する指標であり、多くの学者や企業が研究を進めています。
従業員満足度に影響を与える要素
従業員満足度は、様々な要素の組み合わせで決まるもの。
代表的な要素として
- 仕事の内容
- 報酬への納得感
- 職場の人間関係
- 働く環境の整備状況
などが挙げられます。
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
仕事の内容
仕事の内容とは、自身の業務にやりがいや適性を見出せているか?ということ。やりたいこと、得意なことを任せられていると満足度が高まります。逆に、与えられた業務にやりがいを見出せなかったり、不得意なことばかりだと、満足度は低くなる傾向にあります。
報酬への納得感
報酬への納得感とは、自身の働きぶりに合った報酬を得られているか?ということ。勤務先企業が所在する地域や業界の標準よりも給与が低いと、報酬への納得感は得られにくくなります。また、成果主義的な報酬が全くない場合も納得感が下がる傾向にあります。
金銭面以外では、希望の部署への配置転換、表彰なども報酬の一種と考えることができます。
職場の人間関係
職場の人間関係は悩みの種になっていないかどうか、ということ。「人の悩みの8割は人間関係」と言われますが、どんなにやりがいがあり、報酬が良い仕事であっても、職場の人間関係が悪ければ満足度は下がるもの。
仕事は慣れ合いではいけませんが、お互いに助け合うことが欠かせないため、良好な人間関係を築くことが必要です。
働く環境の整備状況
働きやすい環境かどうか、ということ。ハード面では、汚れが目立つ老朽化したオフィスよりも、キレイでオシャレなオフィスの方が気持ち良く働けるものであり、女性は男性よりもこの点に敏感です。
ソフト面では、ワーク・ライフ・バランスの実現度や福利厚生の充実具合などで満足度に差が生じます。
従業員満足度向上によるメリット
従業員満足度が上がることによるメリットとして
- 生産性が向上する
- 人の定着と採用が進む。
- 顧客満足度が向上する
ということが挙げられます。
生産性が向上する
満足度が高い人は、モチベーションが高く能動的に仕事に向き合います。常により良い仕事の進め方を模索し、新たな挑戦にも積極的です。また、成果を出すためにコミュニケーションも活発に行います。これらが業務効率化や革新的な商品開発、大きな契約の獲得などにつながり、結果として生産性が向上します。
人の定着と採用が進む
近年、転職へのハードルが大きく下がり、人材の流動性が高まっていますが、従業員満足度が高ければ、人材の流出を防止することができます。良い人材の流出は、組織力の低下・採用コストの発生・育成コストの発生などマイナスばかり。これを防止し、長期雇用で企業文化を形成できることは、企業にとって大きなメリットといえるでしょう。
定着率の良い企業は就活生からの人気も集まり、採用面でも優位に立てます。
顧客満足度が向上する
従業員が満足して働ければ、その仕事の先にいる顧客に提供する商品やサービスの質が高まります。その結果、顧客満足が高まるという好循環を実現できます。
従業員満足度を調べる方法
従業員満足度を調べる代表的な方法は、主に次の2つに分けられます。
アンケート調査
紙やWebで与えられた定型的な質問事項に回答する、非対面型の調査方法です。全従業員を対象に、定量的な情報を得たい時などに利用することができます。以前は紙による実施がほとんどでしたが、筆跡による個人の特定や集計作業の簡略化のため、近年ではWeb上のアンケートフォームで回答するパターンが増えています。
満足度調査は、「やりがい」「業務量」「人間関係」「チームワーク」「待遇」「評価」などの項目について5点満点でチェックするという流れで行われます。
インタビュー調査
従業員一人ひとりに対して、面談で聞き取りを行う対面式の調査方法です。アンケート調査に比べて時間と手間がかかるので、企業の規模が大きい場合、対象を絞って行うことも。
対話しながら多様な情報を引き出せるので、深掘りした調査が可能となる点がアンケート調査との大きな違いです。
従業員満足度を高めるには
従業員満足度を高めるためには、アンケートやインタビューによる調査結果を分析した上で、効果的な施策を実施する必要あります。その施策として
- 人事評価制度の見直し
- 働き方の選択肢を整える
- 企業へのエンゲージメント(愛着心)を高める
などの方法があります。
人事評価制度の見直し
人間はメンタルの生き物。「やってもやらなくても同じ」という状況で精一杯頑張れる従業員はごく僅かです。この状況を回避するため、人事評価制度を見直し、成果を給与や待遇に反映させる仕組みを作りましょう。
社内で競争が生まれる環境でないと、社外との競争に勝ち抜く人材は育ちません。とはいえ、基本給や既存の手当などを改悪するのは従業員にたいする「不利益変更」にあたります。賞与や定期昇給に反映させる仕組みを再構築すると良いでしょう。
働き方の選択肢を整える
近年では優秀な人材を確保するため、多くの企業が「多様な働き方」を採用しています。ワーク・ライフ・バランスの重要度も高まる一方であり、従業員の採用・定着を促すためには対応が必須といえます。
具体的には、テレワークや地域限定・短時間勤務制度の導入、有給休暇の取得奨励や残業抑制の仕組みなどが有効。これらの制度を実際に利用する人が少なくても、従業員自らが働き方を「選んでいる」という認識を持ってもらうことに意味があるので、制度を整えるようにすると良いでしょう。
企業へのエンゲージメント(愛着心)を高める
従業員は、企業の経営理念への共感、共に働く仲間との良質なコミュニケーションによって、企業へのエンゲージメントを高めます。共に働く仲間とのコミュニケーションを深めるその方法として、役員との面談や意見交換の機会を定期的に設けたり、従業員同士の交流の場である懇親会費の補助などを行うことが有効です。
精神面でのつながりの強さは、組織の推進力の源泉になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?従業員満足度を高めれば、企業が成長するための好循環が生まれます。本記事を参考に、顧客満足度だけでなく、社内の従業員満足度に目を向けてみてください。
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