レジリエンスとは?注目の理由やメリット・高める方法について徹底解説

レジリエンス 意味 ツール紹介/活用

従来、レジリエンスとは復元力や回復力・弾力などを意味する言葉。しかし、近年では、困難な状況下でも適応して生き抜く力の意味として使われることが多くなっています。

では個人から企業や行政に至るまで、備えるべきリスク対応能力や危機管理能力ともされるレジリエンスの真の意味とは何でしょうか?本記事では、レジリエンスが注目される理由やメリット、高める方法とともに、レジリエンスの意味を解説いたします。

レジリエンスとは

レジリエンスとは、困難や脅威に直面した際の適応力や適応していく過程、適応した結果を意味する言葉。元々、第二次世界大戦下でホロコーストにより孤児になった子供たちの人生を追跡調査する過程で、注目されるようになった言葉です。

従来の意味は復元力や回復力・弾力ですが、ストレスを抱えた時の自発的な治癒力と捉えると理解しやすいでしょう。挫折から回復して強く生き抜くためには、レジリエンス的な意識の持ち方が欠かせません。

レジリエンスが注目される理由

レジリエンスが注目されるようになった契機は、2013年に開催された「世界経済フォーラム(ダボス会議)」です。ダボス会議では、『レジリエント・ダイナミズム』をメインテーマに掲げ、レジリエンスが高い国ほど国際競争力が高いと発表されました。

この他、様々な企業がレジリエンスを気にするようになった背景に労働環境の変化が挙げられます。今後、ますます労働環境が厳しくなることが予想されているため、より一層「レジリエンス」が重要となるでしょう。

従業員の育成や組織・システムの最適化の方法としても、レジリエンスを画期的な概念と捉えて活かすことが求められます。

労働環境の変化

現代のビジネスパーソンは、強いストレス下に身を置く機会が多くなっています。それに伴い、ストレスに適応して回復できるレジリエンスが重要視されるようになりました。

実際に厚生労働省による「平成28年度 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」では、仕事に関する強いストレスを感じる労働者が59.5%にまで及んでいます。前年度の55.7%と比較しても、ストレスを感じる社員が増加していることが判明。

また、同調査では、仕事の質や量・仕事の失敗や責任の発生・セクハラやパワハラ等を含めた対人関係がストレス原因であると捉える労働者が多いことが明らかとなっています。

レジリエンスのメリット

レジリエンスのメリットは、経営者・労働者のどちらにもあるもの。ここでは双方の視点から、レジリエンスのメリットを解説いたします。

<経営者>

経営者側のメリットとして

・企業評価指標として活用できる

・ダイバーシティ・マネジメントに欠かせない

・将来的にトレンド企業になる可能性がある

ということが挙げられます。

1つずつ見ていきましょう。

企業評価指標として活用できる

多くの投資家は企業への投資の判断基準として、組織レジリエンスに注目しています。組織レジリエンスとは、変化への適応能力や逆境力・耐久力などを意味するもの。

つまり、組織レジリエンスの強化は投資家からの企業評価指標につながりやすく、企業価値を示す根拠として活用できるのです。

ダイバーシティ・マネジメントに欠かせない

現在、大半のグローバル企業はダイバーシティ・マネジメントを取り入れています。今後、女性の社会での活躍や海外への事業拡大・外国人労働者の受け入れがますます増加することが予想されています。

それに伴い、必要となっているのが組織レジリエンスを高めて従業員の既存意識を変えること。年齢・出身地・民族・宗教などの違いや性的多様性など、異なる価値観を受け入れて環境の変化に対応する適応能力が不可欠です。

将来的にトレンド企業になる可能性がある

テクノロジーの発展や少子高齢化によって、働き方は変化してきています。レジリエンスのある人材を生み出せる企業こそが、将来的には労働者からも支持を得られるトレンド企業となるでしょう。

<労働者>

労働者側のメリットとして

・ストレスを活かして成長する

・人間関係を改善できる

・自己評価力の強化を図れる

ということが挙げられます。

1つずつ見ていきましょう。

ストレスを活かして成長する

ストレス下に置かれることは、困難な状況を打破するチャレンジ精神や意思決定能力・集中力などの育成機会ともなり得るもの。レジリエンスを発揮すれば、自尊心や自信につなげることもできます。

人間関係を改善できる

精神的に柔軟性があるレジリエンスを発揮すれば、自身を取り巻く環境に柔軟に適応できる可能性が高まります。結果的に、職場での人間関係の改善を期待できるでしょう。

それと同時に、レジリエンスは家族間の絆を高めることにも有効。私生活での人間関係も改善できる可能性があります。

自己評価力の強化を図れる

自身の弱点や欠点を見出して下す正しい自己評価は、レジリエンスを高める上で重要です。自己評価は自身の存在価値を認めることにもつながり、自信や自尊心の形成にも大きな影響を与えるもの。

適切な自己評価を下せるビジネスパーソンは、周囲から高い評価を得ることができるでしょう。

レジリエンスのある人の特徴

日本は2011年の東日本大震災の際に、強力なレジリエンスを持つ国として世界から認められました。その理由は、地震や福島第一原子力発電所の事故などの災害に見舞われたにも関わらず、暴動やヒステリックを起こさなかったため。

前向きに復興に全力を注ぐ日本人の姿勢は、レジリエンスの強さとして捉えられました。ここでは、具体的にレジリエンスのある人の10の特徴を紹介いたします。

自尊心や自信を持つ

自尊心や自信があると、困難な場面でも「打開策がある」と己を信じることが可能です。自尊心や自信は、小さな成功経験の積み重ねにより形成されるもの。成功体験が生み出した自尊心や自信は、より大きな困難に直面した際にもレジリエンスの発揮を促すことができます。

諦めない強さがある

わずかであっても着実に自身の成長を感じられる人は、レジリエンスが高いといえます。自己肯定感があることで、失敗を繰り返しても成功を信じて挑戦し続けることができるでしょう。

感情をコントロールできる

一つ一つの状況に一喜一憂せず、落ち着いて物事に取り組める人は、精神的な回復力が高い傾向があります。反対に、喜怒哀楽が激しいと、それぞれの事象に精神的に振り回されて疲れてしまいがちです。

楽観的である

一般的に、人は困難な事態に陥ったり、失敗を繰り返すと不安に苛まされるもの。しかし、難しい局面でも楽観的な思考で「解決できるだろう」と信じられる人は、困難を前向きに捉えることが可能です。

ネガティブな連鎖を断ち切る習慣

物事や人に対してネガティブに捉える習慣は悪連鎖を生み、決して楽観的に物事を考えるようにはなりません。「否定的な言葉を使用しない」など、意識的にネガティブな連鎖を打ち切る習慣を身につけましょう。

ストレス時に適切な対応をする習慣

ストレスを感じたら、それをチャンスと捉えたり、物事を割り切って考えるなど、ストレス下で心身ともに回復できる工夫が必要です。ストレス時に適切な対応をする習慣を身につけると、レジリエンスも強くなっていきます。

定期的に顧みる習慣

ビジネスの成果などを定期的に顧みると、自身の強みや弱点が見えてきます。レジリエンスを身につける訓練として、定期的な反省と自己肯定をすることが大切です。

物事を大きく捉える

困難やトラブルに見舞われると、人は視野が狭くなり、ネガティブな思考に陥りやすい傾向があります。しかし、物事を大きく捉えれば、精神的に余裕ができ、思わぬ解決策が生まれる場合が多いもの。

物事を大きく捉える人は、危機管理能力やリスク対応能力の点でも評価されるレジリエンスの高い人であるといえます。

人に対して強い信頼を持つ

家族や友人・仲間など人に対して強い信頼感があると、再起力を発揮しやすいといわれています。また一般的には、周囲からの協力や応援がある方が、1人でもがくよりも困難に打ち勝ちやすいもの。

信頼関係を築くための気遣いや行動を重視する人は、レジリエンスが高い傾向があるといえます。

柔軟に考えられる

困難な状況に直面した際に事実を受け入れ、柔軟に目標を変更することができるということは大切なこと。柔軟性の高い思考力を持って、ネガティブな状況下でもポジティブな側面を見出すようにするといいでしょう。

レジリエンスを高めるには

レジリエンスを高める施策を打つ上で注意すべきことは、同じ事柄に対して受ける心理的なダメージの強さは人によって異なるということ。レジリエンスを高める方策が、ある受講者にとっては抑圧的に感じ、さらなる心理的ダメージを与える可能性もあります。

したがって、レジリエンスを高める施策を画一的に展開するのではなく、個々人の特性に合わせながら「育成する」気持ちで取り組むことが大切です。ここでは、企業が講師を招いてレジリエンスを高める研修を行う際の注意点を解説いたします。

カスタマイズ可能な研修内容にする

業界や自社によって、必要となる内容は異なるもの。したがって、カスタマイズ可能な研修内容を選ぶ方が、より効果的なレジリエンスの高まりを期待できます。

講師のレベルに注意する

研修によるレジリエンスの効果の差は、講師の「質」による影響が大きいもの。評判が良い講師であっても、自社にとっても良い講師であるとは限りません。

評判を確認するだけでなく、公開講座への実際の参加などを通して、講師のレベルの確認をおすすめします。

研修の効果を数値的に評価する

研修の効果を数値的に評価しなければ、レジリエンスの高まりを測ることはできません。

研修を実施したら、アンケートを行うなど、効果を図るようにすると良いでしょう。そして研修効果の測定結果を元に、自社や各社員のニーズに合わせて研修内容を改善しながら、レジリエンスを高めていくことが大切です。

まとめ

近年注目が高まっているレジリエンスの意味を解説しましたが、いかがでしたでしょうか。本記事で紹介したレジリエンスを高める方法を参考に、取り組みを進めてみてください。

参考記事一覧

レジリエンスとは―意味と高める施策を打つときの注意点を解説 – 『日本の人事部』

 「レジリエンス」の意味とは?メリットや特徴、必要性、強い個人や組織の鍛え方もご紹介

レジリエンスとは? 心が折れやすい人の特徴、レジリエンス向上の重要性、組織のレジリエンスを高める方法について

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