企業の収益アップの重要な指標「LTV」とは|計算方法やポイントを解説

LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)とは、1人の顧客が自社にもたらす売上がどれくらいか、を表す指標のこと。つまり、1回の購入金額ではなく、取引が始まってから終了するまで、どれくらいの利益をもたらしたか、を表します。

LTVを高めることは、企業が継続して増収増益を達成するために重要なポイントとなるもの。しかし、LTVはどうやって算出するのか、どうやったら高められるのか、良く分からない、という方もいるでしょう。

そこで、LTVを算出する方法やLTVを高めるためのポイントについて紹介します。

LTVの算出方法とは

LTVの算出方法はいくつかありますが、その1つに

LTV=平均購入単価×平均購買回数

という式があります。

例えば、1個1,000円の商品を3回買った顧客の場合、そのLTVは3,000円です。

LTVが高い顧客をたくさん集めれば、企業は収益を増やすことができますが、LTVの額を正確に算出することは、実際のビジネスでは不可能です。実際のビジネスにおける例を見ていきましょう。

<A店の1年間の売上>

・顧客数:500人

・平均購入単価:1,000円

・1人の顧客の平均購入回数:20回

LTVの算出には顧客数は使いません。

したがってA店のLTVは次のようになります。

・A店のLTV=1,000円×20回=20,000円

この計算式から、A店の顧客のLTVは20,000円と算出できました。

これを言い換えると、次のようになります。

●A店の500人の顧客は、1人あたり毎年、売上高に20,000円貢献してくれている

この一文を導き出せれば、経営方針や事業戦略はかなり変わってきます。次の章で確認していきます。

LTVがわかると事業戦略が変わる

LTVを算出すると、なぜ事業戦略が変わるのでしょうか。

もう一度、情報を整理しておきます。

<A店の1年間の売上>・顧客数:500人・平均購入単価:1,000円・1人の顧客の平均購入回数:20回●A店のLTV=1,000円×20回=20,000円●A店の500人の顧客は、1人あたり毎年売上高に20,000円貢献している

ここから、例えば次のことがわかります。

★毎年20,000円以上購入してくれる顧客は優良で、20,000未満の顧客は優良ではない

LTV=20,000円と算出できたことで、優良顧客とそうでない顧客をわけることができます。

さらに次のこともわかります。

★「LTVを22,000円にする」という目標は、達成不可能ではなさそうだ

LTV20,000円のA店が、22,000円にするには次のいずれかをすればよいわけです。

A)平均購入単価を1,100円に増やす

B)1人の顧客の平均購入回数を22回に増やす

AとBの両方を実行できなくても、AかBのどちらかでよければ「できそう」と思えます。

例えば、ランチを1,000円で提供している飲食店であれば、「コーヒー飲み放題+デザート」セットを100円で提供すれば、平均購入単価1,100円は簡単に達成できるでしょう。もし、「デザートを無料で1個プレゼント」というキャンペーンを開始すれば、顧客は来店回数を年2回くらい増やすかもしれません。さらに次のことも可能です。

★「LTVが20,000円であればコストはいくらに設定すべきか」を検討することができる

LTVは顧客の「価値」を数値化したものなので、価値に見合ったコストを考えていかなければなりません。つまり、LTVが高い企業は、顧客を喜ばすためにコストをかけることができます。

効果的な施策を立案できる

LTVを算出すると、効果的な施策を立案することができます。中小企業の経営者のなかには、販売担当者に「顧客単価を高くする方法を考えてほしい」と指示し、営業担当者に「来店回数を増やすキャンペーンを打ち出してほしい」と指示する人がいます。

それぞれの担当者に仕事を課しているだけなので、この指示が悪いわけではありません。しかし、指示の仕方が場当たり的な印象があります。もし売上が上がらない場合、販売担当者は営業担当者のせいにしますし、営業担当者は販売担当者のせいにするでしょう。

LTVを算出すれば、顧客単価が低すぎるのか、または、来店回数が少なすぎるのかがわかります。例えば、顧客単価は高いが来店回数が低すぎることがわかったら、来店回数を増やす施策に力を入れるべきだ、と判断できます。

つまり、LTVを算出することで、販売担当者と営業担当者が一丸となって、来店回数を増やす施策を考えることができるのです。

施策の効果や改善点を把握できる

施策を実施したなら結果が伴いますが、その結果は必ず分析することが大切です。もし、よい結果が出たら、実施した施策が正解だったということ。そして、悪い結果が出たら、施策が失敗したことになりますが、改善点を見つけて対策を打ち出すことができます。

コストの上限を検討することができる

経営者は「顧客を大切にしたい」という気持ちだけで、顧客満足度を高めるためのコストを決めないほうがよいでしょう。なぜなら、「気持ち」と「コスト」では、測る「モノサシ」が違うからです。

つまり、いくら「コスト」をかけたら、いくら「気持ち」を込めたことになるのかは、測ることができません。LTVは数値で出るので、LTVを求めればコストと比べることができます。

例えば、経営者が「LTVを10%高めるために、コストを20%増やそう」という方針を打ち出せば、従業員たちはコストをかけた分だけLTVが上がるような「有効な施策」を考えるでしょう。もし、コストを20%増やして顧客満足度が上昇しても、LTVが上昇しなかったら、その施策は失敗したことになります。

そうすれば、コスト20%の予算を別の施策に振り向けることができます。このような合理的な試行錯誤ができることが、LTVを算出するメリットになります。

LTVを高めるには

LTVを高める方法は次の3つの方法があります。

C)購入単価を高める

D)購入回数を増やす

E)顧客でいてくれる期間を延ばす

CとDは「LTV=平均購入単価×1人の顧客の平均購入回数」なので、理解しやすいと思います。ではEには、どのような意味があるのでしょうか。

「E)顧客でいてくれる期間を延ばす」ことは、LTVではとても重要です。

なぜならLTVを上昇させることは、新規顧客を増やすことより、一般的に「楽」だからです。もちろん、経営者は新規顧客を増やす取り組みをしなければなりません。

しかし、新規顧客を獲得するためには既存の顧客との関係を維持して同じ収益を上げる野に比べて5倍のコストがかかる、ともされています。既存の顧客にこれまでとおり来店してもらえれば、売上高は維持できるので、新規顧客を獲得するより既存顧客を維持できるよう、顧客ロイヤリティを高めることが重要であるといえるのです。

まとめ

LTVは数値化することができるので、目標にすることやコストの指標にすることができます。中小企業の経営者は、まずは一度、LTVを算出してみるといいでしょう。

<参考>

LTV(Life Time Value)とは | 計算方法・見方・活用法・具体的な施策