【モラハラとは?具体例付き】社員・管理職それぞれの対処法を解説

モラハラは現代の会社が抱える問題のひとつであり、被害者への精神的なダメージは計り知れないほどの大きさです。

対処しなければいけないと知っていても、実際にはどのような行為がモラハラに該当するのかを理解していない人もいるのではないでしょうか。

そこで今回はモラハラとはどのようなハラスメントかを、具体例を交えて解説します。

モラハラを受けた社員・モラハラが起きてしまった職場の管理職それぞれの対処法についてもお伝えしますので、もしもの場合は適切かつ迅速に対応していただければと思います。

モラハラとは

まずは、モラハラはどのような行為を指すのか、またパワハラとの違いは何かを解説します。

モラハラについての基礎知識を身に付けて、理解を深めましょう。

モラハラの定義

モラハラとは「モラルハラスメント」の略であり、モラルは「精神的な」、ハラスメントは「嫌がらせ」を意味します。

すなわち、モラハラとは「精神的な嫌がらせ」「心への暴力」のことです。

業務上のやむを得ない注意は必要ですが、過度な𠮟責や威圧的な態度、人格を否定するような言葉をかけることはモラハラとみなされるでしょう。

モラハラとパワハラとの違い

モラハラと似た言葉に「パワハラ(パワーハラスメント)」が存在します。

両者の大きな違いは、ハラスメントの加害者と被害者の関係性・暴力の有無の2点です。

厚生労働省は、以下の3つをすべて満たした行為はパワハラに当たると定義しています。

  • 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  • 業務の適正な範囲を超えて行われること
  • 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

引用元:パワーハラスメントの定義について 厚生労働省

このように、パワハラは地位が上の人が立場を利用して攻撃する行為であり、対してモラハラは上司だけでなく同僚や部下からの嫌がらせ・いじめも該当します。

また、パワハラにおいては叩くなどの体への攻撃も含まれますが、モラハラは精神的な攻撃のみで肉体への暴力行為はありません。

モラハラはパワハラと違い、立場が関係なく暴力も見られないことから、周囲の人が気付きにくい特性があります。

職場のハラスメントの実態

厚生労働省が2020年に実施した「職場のハラスメントに関する実態調査について」では、過去3年間のうち、勤務先でパワハラを受けた経験があると回答した人は31.4%という結果になりました。

実はモラハラはパワハラよりも本人が被害を受けていると認識しづらいため、数値として表面化されにくい特徴があります。

そのため、実態はパワハラより多くの件数のモラハラが職場では起こっているかもしれません。

上司からではなく同僚や部下からのハラスメントをモラハラと認識している人は少ないので、気付かぬうちに精神的なダメージを負っているパターンが多いのです。

参考:職場のハラスメントに関する実態調査報告書 厚生労働省

モラハラの具体例

ここでは、職場で起こっているモラハラの具体例をご紹介します。

モラハラになる言動を知ることで、対処法や対策を取る際に役立ててください。

精神的に追い詰めるような発言をする

モラハラの代表例として、精神的に追い詰めるような発言が当てはまります。

人格や考え方を否定したり、バカなどの暴言を吐いたりする行為は精神的なダメージを与えます。

業務上の注意をする際に、必要以上に侮辱したり暴言を吐いたりすることはモラハラです。

たとえば以下のような発言が該当します。

  • 「こんな体型だから動けないんだ」(容姿の否定)
  • 「大卒なのにこんな簡単な仕事もできないのか」(能力の否定)
  • 「うざい」「クズ」(暴言)

このような言葉は人柄や能力、外見に関する否定であり、モラハラに該当するので注意しましょう。

仕事の指導・指示を利用して嫌がらせをする

仕事の指導や、指示ができる立場を利用した上での嫌がらせもモラハラです。

代表例として、一人では不可能とわかるレベルの仕事を押し付けたり、業務に必要な情報を教えなかったりする行為が挙げられます。

反対に仕事を与えてもらえない、もしくは簡単な作業しかやらせてもらえないなども該当するでしょう。

また、仕事の指示内容をコロコロ変えて妨害する行為もモラハラです。

業務に直接影響するため、働きづらさをエスカレートさせてしまう非常に悪質なハラスメントのひとつといえます。

職場で孤立するように仕向ける

挨拶を返さないなど、職場で孤立するように仕向ける行動もモラハラのひとつ。

社内イベントや飲み会に全く誘われない、話しかけても無視されるなど「自分は嫌われている」と精神的な苦痛を感じてしまいます。

孤独感が増すほど、どんどん相談しづらくなるでしょう。

また、周囲もいじめの対象になるのを恐れて、見て見ぬふりをしてしまうケースもあります。

職場で孤立すると必要な業務連絡をしてもらえない、聞きたいことが聞けないなど仕事内容にも悪影響が出るため、早急に解決しなければなりません。

プライベートへ過度に踏み込む

モラハラの中には、プライベートへの過度な踏み込みも存在します。

たとえば、仕事とは関係のない家族や休日の過ごし方を聞き出し、それについて言いふらされたり侮辱されたりすることです。

意味もなく私生活について話す必要はない上に、プライベートまで否定されるのは辛いもの。

必要なコミュニケーションと思い込んで悪気なく行う人もいるため、解決が難しいハラスメントともいえるでしょう。

【社員向け】モラハラを受けたときの対処法

実際にモラハラを受けた場合は、我慢せずに早急に対処しましょう。

そのまま受け続けると心身ともにバランスを崩してしまいます。

ご紹介する5つの対処法のうち、ご自身ができるものから実施してみてください。

上司へ相談する

まずは、可能であれば信頼できる上司へモラハラを受けていることを相談してみましょう。

どのようなハラスメントを受けているのか伝え、加害者にモラハラをやめるように促してもらいます。

本来上司は社員が働きやすい環境を整える責任があるため、相談してもよいかと悩む必要はありません。

話しやすい上司がいるのなら、勇気を出して悩みを打ち明けましょう。

モラハラをしてくる人と距離を置く

もう一つの対処法として、モラハラの加害者と距離を置くことも効果があります。

業務上、難しい場合は他の手段を取る必要がありますが、やはりできるだけ関わらないように工夫することが重要です。

モラハラを我慢しながら付き合い続けると、嫌がらせがエスカレートする可能性もあります。

無理して関係を維持せずに、少しずつ距離を置くようにしてみましょう。

記録をとって証拠集めをする

「もしかしてモラハラを受けているかもしれない」と感じたら、すぐに証拠となる記録を集めましょう。

第三者に相談する際に提示することで、どのような被害にあっていたのか証明するときに役立つからです。

事実であると伝えられれば、迅速かつ具体的に対応してくれやすくなります。

メモ帳に書き残してもよいですが、一番有効なのはボイスレコーダーなどで音声を録音することです。

余裕がある場合は記録を取っておくことをおすすめします。

医師から診断書をもらう

モラハラによってすでに精神的なダメージが大きく生活に支障が出ている場合は、医師の診断書を受け取るとよいでしょう。

うつ病や適応障害などの診断書も、モラハラを受けたことの証明になる可能性があります。

また、診断書を提出して休職することもひとつの手段です。

やはり心を病んでしまうと、会社に行くのも辛く、上司へ相談することも難しいかもしれません。

一度しっかり休んで、どうするべきかを考えてみてもよいでしょう。

相談窓口を利用する

もし、会社に相談しても解決しない、相談しづらい職場環境のケースでは国の機関の相談窓口を利用してみてください。

職場のハラスメントの相談窓口として、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」や法務省の「みんなの人権110番」が利用できます。

総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーは各都道府県の労働基準監督署などに設置されています。

モラハラを含む職場のトラブルの相談ができ、解決のための情報提供を受けられます。

お住いの地域の総合労働相談コーナーの所在地は以下でご確認ください。

参考:総合労働相談コーナーのご案内 厚生労働省 

みんなの人権110番

法務省の「みんなの人権110番」でも、職場のハラスメントの相談を受け付けています。

電話やインターネットで相談が可能なため、気軽に利用しやすいでしょう。

一人で抱え込まずに相談窓口の利用も、選択肢のひとつに入れてみてください。

参考:常設相談所(法務局・地方法務局・支局内) 法務省

【管理職向け】モラハラへの対策・対処法

もし職場でモラハラの実態が確認されたとき、管理職は早急に対応しなければなりません。

ここでは、管理職向けのモラハラへの予防や対処法についてお伝えします。

モラハラは許されない行為と社内周知を徹底する

まずは発生を防ぐために、モラハラは許されない行為であると社内周知を徹底しなければなりません。

ハラスメントを受けた社員は、心に大きな傷ができてしまい、働けなくなる可能性もあります。

最悪の場合、命を絶つ選択を取る人もいます。

また、加害者は名誉毀損罪として法的責任を問われる可能性もあるため、ハラスメントは絶対にあってはならないと日頃から伝えることが重要です。

上司からモラハラ社員へ指導する

モラハラの相談を受けた、または疑いがある行為を見かけた際は、モラハラ社員に対して上司からの指導が必要です。

不十分な指導をしてしまうと、モラハラ社員は同じことを繰り返す恐れもあるため、適切に対処しましょう。

一度指導して終わりではなく、その後の様子も注意深く見る必要もあります。

社員がいつでも相談しやすい窓口を設置する

モラハラを受けている社員が相談できずに、周囲は見過ごしてしまうケースもあります。

対策として会社は、社員がいつでも悩みを相談できる窓口を設置することが大切です。

労働施策総合推進法の改正(パワハラ防止対策義務化)により、ハラスメント相談窓口の設置は大企業ではすでに義務化、中小企業では2022年4月以降から義務化されます。

また、窓口を設置しても、しっかり機能できていなければ意味がありません。

プライバシーの保護を徹底し、対面だけでなくメールやチャットでの相談方法も選べるようにするなど、気軽に利用しやすい窓口づくりが重要です。

参考:労働施策総合推進法(パワハラ防止対策義務化)厚生労働省

まとめ

今回はモラハラの定義や具体例、対処法について解説しました。

モラハラを受けていると感じた場合は、無理をする必要はありません。

我慢せずに上司や国の窓口に相談するなど、できることから始めてください。

そして管理者はモラハラを見過ごさずに早急に対処しましょう。

放置すると被害者が精神的なダメージを受け続けることになり、大きな問題になる可能性もあります。

モラハラの加害者への指導を徹底し、相談しやすい窓口の設置など迅速に対応して、社員がストレスを抱えずに働きやすい環境を整えていきましょう。