2017年、ビジネス界に衝撃を与えた退職代行サービス。利用者数は3万人を超えたとも言われています。同様のサービスを提供する企業も100社ほどに増加し今後退職は代行するという流れが主流になるかもしれません。それを踏まえて今後退職代行サービスを踏まえてどのように採用活動と社内体制を整えればいいのかを考えてみました。
退職代行サービスとは
退職代行サービス。つい最近までこんなサービスが生まれるなんて思いもしませんでしたよね。そんな退職代行サービスとは何?という方へ向けてご紹介します。
退職代行サービスとは、退職を代行するサービスなのですが様々なサービスが生まれており
①専門的な知識や資格がない方が代行する
②労働組合が代行を行う
③弁護士や行政書士などの専門知識がある人が代行を行う
というサービスがあります。
これは「引き継ぎだけはしてほしい」「今月末まで残って欲しい」などを退職希望者にお願いしたい時に差があります。違いとしては、①に関しては代行者と会社で交渉を仲介することはできませんが、②と③は会社と交渉を請け負ってくれます。
①のような一般事業会社が仲介した際は本人と交渉ができる。
②、③のような専門会社が仲介した際は本人と交渉ができない可能性が高い。
という認識をもっていただければと思います。
なお、退職代行サービスは100社を超えているという驚愕のデータがあります。それくらい市場規模がある。つまり利用者が増加しているのです。
参考:「退職代行ソムリエ」
では、利用者、事業者共に増加している退職代行サービスですが、実際にどのような職業でどんな人がどんな理由で利用しているのか?をご紹介します。
職業別:退職代行サービス利用者割合
初めにご紹介するのは職業別の退職代行サービス利用者割合です。
「退職代行のトリセツ」が行った調査では男性と女性別で職業を分けてデータを公表しておりました。
そのため、男性と女性に分けてそれぞれご紹介します。
男性で退職代行サービスを利用する割合が多い職業
男性で退職代行サービスを利用する割合が多い職業は
1位:製造(その他) 18.1%
2位:営業 15.7%
3位:システムエンジニア 6.8%
4位:配送・ドライバー 6.4%
5位:接客(販売) 5.7%
となっておりました。
また、同会社が行った退職理由に関するアンケートでは上位3職種の退職理由が
■製造業(その他)
・上司からのパワハラ・モラハラ
・昇給や昇進がない
・仕事を教えてもらえない
■営業
・営業ノルマが厳しい
・社内外の人間県関係によるストレス
・就業時間が不規則なことが多い
■システムエンジニア
・労働時間が長く、深夜まで残業することがある
・社内の上司や同僚との人間関係によるストレス
・会社が求めるスキルと労働条件が合わない
であることが分かりました。
職種ごとの大変なポイントもあるかと思いますが、労働環境と人間関係が共通した退職理由であることが分かりました。
出典:退職代行のトリセツ「【退職代行統計調査2020】ついに解禁!?退職代行職業別利用者ランキング!」
女性で退職代行サービスを利用する割合が多い職業
続いて、女性で退職代行サービスを利用する割合が多い職業をご紹介します。
1位:事務・受付 16.3%
2位:接客(販売) 11.0%
3位:美容・エステ 7.6%
4位:接客(飲食店)7.4%
5位:営業 6.6%
となっておりました。
また、同会社が行った退職理由に関するアンケートでは上位3職種の退職理由が
■事務・受付
・入社前と入社後の業務内容にギャップを感じて退職
・上司のパワハラ・セクハラを原因に退職
・職場の人間関係によるストレス
■接客(販売)
・売上のノルマが厳しい
・残業時間が多い
・転勤や店舗の異動が多い
■美容・エステ
・長時間の肉体労働で体力がきつい
・接客・お客様からのクレームによるストレス
・職場の人間関係によるストレス
であることが分かりました。
こちらも人間関係、労働環境が共通した退職理由であることが分かりました。
出典:退職代行のトリセツ「【退職代行統計調査2020】ついに解禁!?退職代行職業別利用者ランキング!」
年齢別:退職代行サービス利用者割合
続いてご紹介するのは、年齢別の退職代行サービス利用者割合です。
こちらも、退職代行ソムリエ様が行った調査結果をもとにご紹介します。
果たしてどの年齢層が多く利用しているのか?その参考にしてみてください!
男性で退職代行サービスを利用する割合が多い年齢
男性で、退職代行サービスを利用する割合が多い年齢は
1位 20代前半(20歳~24歳) 43.1%
2位 20代後半(25歳~29歳) 29.2%
3位 30代前半(30歳~34歳) 10.3%
4位 10代後半(15歳~19歳) 9.3%
5位 30代後半(35歳~39歳) 3.6%
となっております。
また、20代、30代をさらに細かく分析すると
20代
1位 24歳(10.7%)
2位 23歳(9.3%)
3位 21歳・28歳(8.5%)
30代
1位 33歳(2.8%)
2位 32歳(2.5%)
3位 34歳(2.1%)
であることが分かります。
24歳は大卒の場合入社2年目、23歳は大卒の場合新卒入社した会社で退職代行サービスを利用しているということになります。大卒を前提にしていますが、大卒で新卒入社した方が退職をする際は退職代行サービスを利用するケースが多いのかもしれません。
出典:退職代行のトリセツ「【退職代行統計調査2020】あの県は退職代行利用者0人!?地域別・年齢別ランキング」
女性で退職代行サービスを利用する割合が多い年齢
女性で退職代行サービスを利用する割合が多い年齢は
1位 20代前半(20歳~24歳) 41.1%
2位 20代後半(25歳~29歳) 24.9%
3位 30代前半(30歳~34歳) 10.3%
4位 10代後半(15歳~19歳) 9.6%
5位 30代後半(35歳~39歳) 6.2%
であることが分かりました。
ほぼ男性と同じですね。
また同様に20代、30代をさらに詳しく分類すると
20代
1位 22歳(9.9%)
2位 23歳(8.8%)
3位 21歳(8.7%)
30代
1位 30歳(2.6%)
2位 32歳(2.6%)
3位 31歳(1.9%)
であることが分かりました。
男性と違うのは22歳つまり大卒の場合新卒に当たる年齢層が最も利用しているという点です。
女性で新卒入社した会社を退職する際、代行をしてもらうというケースが今後も増えるのかもしれません。
出典:退職代行のトリセツ「【退職代行統計調査2020】あの県は退職代行利用者0人!?地域別・年齢別ランキング」
Twitterで調べた退職代行サービスを利用する理由
続いて、筆者がTwitterを用いて、利用者の声を集めてみました。なぜ退職代行サービスを利用するのか?その背景を探ってみました。
企業視点
では企業視点で退職代行サービスを利用して従業員が退職した場合どのような対応を行うのか?をご紹介します。
ーーーーーーーーーー■ツイートサンプル1:匿名ーーーーーーーーーーー
皆様、こんにちは太陽の光
偏見かもしれないが、俺みたいな昔気質の人には理解できないなぁ…
昨年入社したばかりの新卒社員が無断欠勤。全く連絡もつかず、最悪の事態を想定し朝から皆で大騒ぎ我慢している顔
そんな中、会社にかかってきた一本の電話…「退職代行サービス○○○の✕✕です。」
一見綺麗事に聞こえるかもしれませんんが、リモートワークにより物理的にも心理的にも距離が空いている現代、とても重要なサービスなのではないかと思いました。
ーーーーーーーーーー■ツイートサンプル2:匿名ーーーーーーーーーーーー
うちの会社にも、ついに「退職代行サービス」を使って辞めるやつが出てきたか…。
辞めるなとは言わないけど、辞める時くらい自分でちゃんと話して辞めろよ…。と思うのは、古い証拠なのかな…。
ーーーーーーーーーー■ツイートサンプル3:匿名ーーーーーーーーーーーー
うちの会社で先日退職者が、出ましたがっかりしたが安心した顔新卒1年目の子でした。
前の日まで普通に仕事してて、翌日音沙汰なし!?
初めて、退職代行を目の当たりにがっかりした顔
自分も含めてサポートしてあげれてなかったのかなぁ
■まとめ
というように、戸惑いの声や昨日まで普通に出社していたのに翌日退職代行を利用して退職するというケースが多いようです。では、なぜこのように急に退職代行を利用して退職をするのか?利用者の声を集めてみました。
利用者視点
ーーーーーーーーーー■ツイートサンプル1:匿名ーーーーーーーーーーーー
私の同期は師長に辞めたいと伝えましたが、まぁ頑張ろうよ!と言われて話にならなかったので退職代行使ったそうです!
業者が電話で全て対応してくれるので、次の日から病棟には行ってないと言ってました。
次の日病棟に行くのが辛い時の奥の手って感じですね。
ーーーーーーーーーー■ツイートサンプル2:匿名ーーーーーーーーーーーー
退職代行を使って、本日会社に退職の連絡をしてもらいました。自分の場合は、有給休暇もなかったし、未払い残業代もなく、とにかく社長と話をしたくなかったという理由で退職代行を使ったので、弁護士事務所ではなく退職代行サービスを使いました。
ーーーーーーーーーー■ツイートサンプル2:匿名ーーーーーーーーーーーー
新卒で2年弱働いていた会社を退職代行で辞めました。
大手メーカーに入社すれば安泰だろと思って選んだ会社がクソブラック企業だった件についていつか書きます。
自分で言っても退職できなかったのでやむを得ずでしたが、明日から前を向いて歩けそう。
■まとめ
このように
・退職したいと申し出ても向き合ってくれなかった
・もう話したくない
など、労働環境や人間関係の問題で退職をしたいと思った時に、法に則った手続きをしてくれかつ、自身で対応する必要がないということが利用される理由のようです。また、給与交渉なども退職業者が行ってくれるらしく、自分からは言い出しづらいことを伝えてくれるため使われているようです。
経営者は退職代行サービスとどう向き合うべき?
ここまでを調べて筆者が感じたのは、今後さらにこのサービスは普及してきて円満ではない退職をする際退職代行サービスを利用するというのは主流になりそうな気がしています。特に、退職代行サービスを利用する方の多くは、昨日まで普通に仕事をしていたのに…という声があるように急に出社しなくなるというケースが多いようです。
採用コストや、急な退職によるトラブルを防ぐためにも退職代行サービスを利用する背景を知り労働環境や人間関係など企業の働きやすさを改善していかないと、今後退職代行サービスえ退社していき人員獲得が非常に難しくなってくると思います。
もちろん、従業員全員が求める完璧な労働環境というのは難しいと思います。
そのため、今後採用活動を行う際は、退職代行サービスがあるということを前提におき、急な退職を防ぐためにどのような企業体質にするか?を考える必要があるかと思います。
その一例としては
・ミスマッチのない採用活動
・入社後の定期的なフォロー
・退職をしたいと伝えられた時の対応
などです。
まとめ
つい3年前までは考えもしなかった退職代行サービスですが、今後さらに普及していくと思われます。これにより訪れるのは働きやすい環境を作らないと若手社員を獲得し継続的に働いてもらうのは難しい状況です。
そのために、退職代行サービスというサービスを使うという前提の元、企業体制を見直していく必要があると思いました。
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<参考>
退職代行のトリセツ:退職代行サービス利用者統計調査
労働問題弁護士ナビ:退職代行は引き継ぎなしで退職も可能だがリスクもある