テレビのメディアとしての影響力が衰えているの反比例して、SNSやYouTubeなどの影響力が増している現代。これは、人がもつ情報量が増えるとともに選択肢が増え、より個人のニーズに寄り添ったサービスが求められる時代になったということでもあります。つまり、いいものを作れば売れる、大々的に告知すれば売れる時代のではなく、個人に寄り添ったサービスが求められるということです。
つまり、売上が上がらない、停滞している企業の原因の多くはこの顧客に寄り添ったサービス開発や訴求ができていないことが1つの要員だと考えられます。
本記事では、
・高度情報化社会よる市場の変化
・マスマーケティングと自己実現マーケティングについて
・これからの事業戦略について
・これからのマーケティング活動とDXの関連性
・まとめ
をご紹介します。
この記事を読み、「近年売上が伸び悩んでいる」「新規顧客が増えない」とお考えの中小企業経営者は、一度自社の顧客について考えてみる機会になれば幸いです。
高度情報化社会による市場の変化
今と昔、大きく変わったことは何か?と言われると
・インターネットの普及により「露出している情報量が増えたこと」
・マスメディア(テレビや新聞)の影響力が減少し、SNSやYouTubeなどの個人発信の情報が増えたことで「影響力をもつメディアが切り替わったこと」
だと思います。
一昔前、主な情報源はマスメディアと呼ばれるテレビや新聞でした。そのため、流行はテレビ空生まれ、テレビの情報で国が動くくらいマスメディアに踊らされていた。と感じます。
しかし、現代はどうでしょう。インターネットの普及により、
・ネット検索することで様々な情報と触れられる
・SNSでは色んな主観的意見が飛び交う
・YouTubeはテレビ並みの影響力を持ち始め、流行はSNSから生まれる時代になった
その影響により我々は自身で情報を集め、見極める必要性が生まれました。
それは消費活動にも大きな影響を与えています。
欲しい情報は自身で探し、納得できる本当に欲しいものを求めるようになりました。
「テレビでやっていたから」
「周りがみんな買っているから」
という大衆的意見は淘汰されている様に感じます。
つまり、サービスや商品を提供する事業者は、
・大きな市場をガサッと取る
・主観的、大衆的に良いものを作ったら売れる
ではなく
「顧客が本当に欲しいサービス、商品は何か?」
という視点で事業活動を行わなくてはいけません。そうしなければ、顧客は商品を選んでくれないのです。
この考え方を前者はマスマーケティングと呼び、後者を自己実現マーケティングと呼びます。
このような時代の変化に合わせたマーケティング活動の変化をフィリップ・コトラー博士は4つに分けて表現しています。
・マーケティング1.0
「マス・マーケティング」とも呼ばれます。消費者が何を求めているかは分析せず、ひとつの戦略・商品を大量に販売する方法です。
・マーケティング2.0
「消費者志向のマーケティング」と呼ばれます。消費者が商品を自ら選び始め、安全性を要求し始めたことからこのように呼ばれます。
・マーケティング3.0
「価値主導のマーケティング」と呼ばれます。企業の生産能力が高まり、消費者もさまざまな商品やサービスを比べることができるようになりました。そこで、企業は「他にはない良さ」を付加価値として付けるようになりこのように呼ばれます。
・マーケティング4.0
「自己実現のマーケティング」と呼ばれています。これは現在進行形の、新しい概念です。企業が消費者の心情に寄り添い、消費者も主体的に商品やサービスを選んでいくマーケティングです。
これから、マーケティング1.0と近代的なマーケティング4.0についてご紹介します。
マスマーケティングと自己実現マーケティングとは
では、マスマーケティングと自己実現マーケティングそれぞれは具体的にどのようなマーケティング活動のことを言うのでしょうか?この2つについてご紹介します。
マスマーケティング
初めにマスマーケティングについてご紹介します。
先ほどもご紹介しましたが、コトラー博士が定義するマスマーケティングとは「市場のニーズなどは考慮せずに、ひとつの戦略やひとつの商品を売りにする方法」です。
これは「商品中心のマーケティング」です。良いものを作れば売れると似ていていると思います。開発者が主観的に良いと思ったものを、テレビなどのマスメディアで投下する。そして市場を独占するといった手法です。
この手法は、1960年代の手法です。消費者が持っている情報量が少なかったため、表面的なニーズを解決させることができれば消費者は消費行動をしてくれました。
ここで分かるのは、マスマーケティングのように、「良いものを作ったら売れる」という考え方は消費者が様々な情報を持っている現代では通用しないことが分かります。
自己表現マーケティング
続いて、2010年頃から提唱し始めた自己表現マーケティングについてご紹介します。
コトラーが定義する自己表現マーケティングとは「企業が消費者の心情に寄り添い、消費者も主体的に商品やサービスを選んでいく」マーケティング活動のことです。
マスマーケティングの概念について理解していると分かると思いますが、近代的な市場は「企業」と「消費者」の立場が逆転しており、商品を選択する権利は消費者が持っていることが分かります。
これは、情報量と選択肢が増えたことで自身が本当に欲しいものは何か?を考えるようになったからでしょう。つまり、企業が主観的に良いと思う商品・サービスではなく消費者が主観的に良いと思う商品・サービスを選ぶようになったと考えられます。
マーケティング手法の変化まとめ
2つのマーケティング手法をご覧になりいかがでしたでしょうか?約50年前までは、企業が主観的に良いと思う商品をマスメディアで告知することにより、選択肢がなかった消費者は表面的なニーズを満たせるため消費行動を行っていました。
しかし、現代では通用しません。様々な情報と選択肢を持った消費者は、いかに個人のニーズを満たせるか?で消費行動を起こします。
現代で事業活動を行うには、徹底的に消費者に寄り添い、ターゲットとなる顧客のニーズを理解し顧客に合わせた商品を提供することが重要になります。
自己表現マーケティングを意識したこれからの事業戦略について
では、消費者の行動基準が変わった現代、商品やサービスはどのように修正し顧客に届ければいいのでしょうか?
この答えは、コトラーがまとめた現代のカスタマージャーニー(顧客が商品を認知してから購入するまでの流れ)を理解すると見えてきます。
コトラーはマーケティング4.0の時代(自己実現マーケティング)、「5a理論」が重要だと唱えています。「5a理論」は、マーケティング4.0の最終目標を順に表した新しいカスタマージャーニーです。
新しい概念「5a理論」とは
従来は、AIDMAなどで表現されていましたが、今は5a理論が最も現代にあった考え方だと言われています。
5a理論を構成する5つのaは
・Aware(認知)
商品やサービスについて消費者が「知っている」状態
・Appeal(訴求)
消費者が触れることになる多くの情報のなかから、消費者が「自分にとって好ましい」と思うものを選ぶ段階です。
・Ask(調査)
口コミやレビューを見て、顧客が商品について調査をします。企業と直接やりとりをする消費者もいます。
・Act(行動)
消費者が実際に商品やサービスを購入する段階です。
・Advocate(推奨)
実際に購入した商品やサービスに満足した場合、消費者自身がSNSなどで口コミを広げていきます。これはその商品をまだ知らない、新しい消費者に対しての「Aware」につながります。
これは触れられる情報量が増えた現代だからこそ可能な手法です。
重要なのは、
Appeal(訴求)我々は適切な顧客にどうやって商品やサービスを訴求すればいいのか?
です。
答えは簡潔で、これからはいかにSNSやYouTubeなどで情報を「ターゲットとしている適切ここやくに訴求するか?」です。
自社の適切なターゲットを改めて定義する必要がある
上述した、適切顧客へSNSを用いたアプローチをするには、自社はどのような顧客に向けて商品を販売したいのか?またその顧客は自社商品を購入したいというニーズを持っているのか?を知る必要があります。
もし、メイン顧客だと思っていた顧客が自社商品に対するニーズを持っていない場合ターゲットを変更する必要がありますし、持っていても届いていないという可能性もあります。
適切なアプローチ方法を見つけるためにも1度ターゲットの再定義をお勧めします。
これからのマーケティング活動とDXの関連性
これは、先ほどご紹介したターゲットとなる顧客に合わせて、自社のアプローチ手段もデジタル化する必要があるということをお伝えしています。
というのも、ターゲットとなる顧客も時代に合わせて日頃触れ合うものや利用しているツールはデジタル化しています。
例えば、スマートフォンです。今は、生活のほとんどがスマートフォンに関連づいていると思います。
事業活動において重要な顧客行動の参考例は
・インターネットを利用してHPなどから情報収集している
・SNSで知り合いが使っている商品やサービスを見ている
などです。
顧客の行動がデジタル化している現代、HPを持っていないというのは企業の信頼にも大きく影響を与えますし、そもそも認知されない可能性もあります。ターゲットがSNSをメインに商品購入の意思決定をしているならSNSを利用しなければ購入の選択肢にも入らないかもしれません。
ここで重要なのはただやみくもにデジタル化するのではなく、顧客を徹底的に分析し理解した上でどんな手段なら適切な顧客にアプローチできるか?を考えることです。
そのために、顧客の定義を考え直し調べ、ターゲットに合わせた自社のデジタル化をお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
時代が大きく変わっている現代、いかに時代に合わせた事業活動が重要か?そして、時代の変化と主に顧客がどのように変化をしたか?を考える重要性を少しでもご理解いただき、自社の事業戦略を考えるきっかけになれば幸いです。
<参考>
株式会社 日本能率協会コンサルティング:営業・マーケティングの知恵ぶくろ
Senses Labo:マスマーケティングとニッチマーケティングのどちらが向いている?
キャククル:ニッチ戦略を成功させるマーケティングの考え方と企業事例集