クロスメディア戦略とは、あらゆるメディアを利用して宣伝を行うマーケティング手法のこと。成功させるには各媒体の特色を把握し、いくつかのポイントを押さえることが求められます。
本記事では、クロスメディア戦略とは何か、そして、導入することによるメリットと成功させるコツについて解説します。導入事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
クロスメディア戦略とは
クロスメディア戦略とは、テレビCMや新聞、雑誌や交通広告、web広告やSNSなど、色々な媒体で総合的に販売促進を図るマーケティング手法のこと。メディアごとの利点・欠点を把握することで、広告効果を最大化し、幅広い層へリーチすることが可能となります。
クロスメディア戦略では複数のメディアを用いて施策を打つことが前提であり、それぞれのメディアに応じた表現を用いてシナジー効果を得ることを目指すことが大切です。たとえば、テレビCMと雑誌やWebサイトを組み合わせる、という場合、テレビCMでユーザーとの接点を持ち、雑誌やwebサイトで詳細な情報を提供する、など使い分けることでクロスメディア戦略を円滑に実施することができます。
以前は、消費者が情報を得る手段の主流はテレビでしたが、インターネットとスマホの普及に伴い、消費者の利用する媒体の中心はインターネットへと移行しています。そのため、テレビCMにだけ注力するのではなく、インターネットなど複数のメディアを活用することが求められています。
クロスメディア戦略のメリット
クロスメディア戦略のメリットとして
- 複雑な商品の特徴を伝えやすい
- 信頼感を生みやすい
- 認知力を高める
- 質の高い見込み客の囲い込みをしやすい
- メディアごとに効果測定が可能
ということが挙げられます。それぞれのメリットについて、具体的に解説していきます。
複雑な商品の特徴を伝えやすい
クロスメディア戦略のメリットの1つとして、複雑な商品の特徴を伝えやすい、ということが挙げられます。複雑な商品として、金融機関の商品やサービスがありますが、テレビCMで商品・サービスについて伝えようとしても、限られた時間の中でその商品・サービスの良さや特徴を伝えることは難しいもの。
そんな時、テレビCMで商品・サービスの露出をして、雑誌やwebサイトなどで具体的な情報を伝えれば、顧客がその商品・サービスの特徴や良さを理解することができるのです。
クロスメディア戦略は信頼感を生みやすい
複数のメディアからの情報発信は、ユーザーからの信頼感や安心感を高めることができます。特に消費者から企業への信頼を生みやすいのがテレビCMの活用です。雑誌やweb広告ではターゲットが限定的なので、広範囲の消費者に露出できるテレビCMを利用すると多くの消費者の信頼感を高めることができるでしょう。
消費者は公式情報を通じて企業を「知る」ことで、安心感や信頼感を抱きやすので、公式ホームページや公式SNSアカウント、新聞や信頼されている雑誌などへの掲載も、企業や商品への信頼を高めるでしょう。
認知力を高める
広告に使われる媒体は、それぞれの媒体ごとにターゲットとなるユーザー層が異なります。したがって、複数の広告媒体を活用するクロスメディア戦略を行うことで、幅広いユーザー層にアプローチすることが可能となり、商品・サービスの認知力を高める効果を期待することができます。
質の高い見込み客の囲い込みをしやすい
クロスメディア戦略では、いくつかのメディアを組み合わせて利用することで、商品の認識から購入までの導線を引くことができます。単一媒体の広告よりも接触できるユーザーが増えるだけでなく、高い目的性のある顧客を購入に導くことが可能であることから、質の高い見込み客の囲い込みがしやすくなるでしょう。
メディアごとに効果を測定できる
クロスメディア戦略は様々な媒体の組み合わせであるため、メディアごとに施策を打つことができます。しかし、一見異なるメディアでありながら、実際には一貫した流れがあるもの。
そのため、各メディアでの誘導率などの効果測定をしやすく、PDCAが回しやすいことがクロスメディア戦略の特徴の一つといえます。
クロスメディア戦略を成功させるコツ
クロスメディア戦略を成功させるコツは、各メディアの利点を活かした組み合わせをすること。つまり、クロスメディア戦略を成功させるためには、まずメディアごとの強みと弱みを把握することが大切です。
特に、インターネットが非常に重要な役割を果たす現在では、インターネットと他の媒体の組み合わせ方がクロスメディア戦略の最大の鍵となります。
クロスメディア戦略の事例
クロスメディア戦略の事例として
- サントリーのハイボール
- シャープの「SHARPさん」
の2例を紹介します。
サントリーのハイボール
サントリーはテレビCMやYouTube、屋外広告、実店舗のポスターなどを利用し、クロスメディア戦略を実施しています。テレビCMやYouTubeでお店で飲めるお酒の飲み方を紹介し、分かりやすいユーザー体験を提示。そして、有名女優をCM起用することで消費者の目を惹くことで消費者の認知度アップを図っています。
居酒屋チェーンではもちろん、コンビニでも手軽に購入できるため、若い層にも浸透。クロスメディア戦略が幅広い範囲でポジティブなイメージを与えることができるということを実証している事例だといえるでしょう。
シャープの「SHARPさん」
シャープのTwitterで人気を集めているものに、SHARPさんと呼ばれる「Twitterの中の人」があります。SHARPさんは、公式情報だけでなく、多くのバズツイートの投稿や製品への質問への返答も含めた丁寧なリプライ、細かなリツイートなどをすることによって、フォロワーを増やしポジションを確立。
2020年には、自社マスクの販売で公式サイトがダウンするなど、クロスメディア戦略によって成功を収めた事例であるといえるでしょう。
まとめ
クロスメディア戦略の定義と導入するメリット、成功するコツと導入事例を紹介しましたがいかがでしたでしょうか。各媒体のメリット・デメリットを知り、効果を最大化できるクロスメディア戦略に取り組んでみてください。
参考
「クロスメディア戦略とは?スマホ時代の新・広告戦略<入門>」(The Finance)