コロナ禍の影響もあり、テレワークや在宅勤務を導入する企業も増えています。この記事を読んでいるあなたも、一度はテレワークを経験したことがあるのではないでしょうか。
とはいえ、テレワークと在宅勤務の違いや、テレワークの種別について知らない方も多いはずです。
この記事では、テレワークと在宅勤務の解説はもちろん、テレワークで働ける3つの場所やメリット・デメリットについても説明します。
テレワークと在宅勤務の違い
テレワークと在宅勤務の違いは明確です。
テレワークとは、IT技術を活用してオフィスから離れた場所で勤務することを指します。厚生労働省によると、
「テレワークとは、情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」
と定められています。
対して、在宅勤務とは、自宅で勤務することを表します。
厚生労働省では、
「在宅勤務は、所属する勤務先から離れて、自宅を就業場所とする働き方」
と定めています。
つまり、在宅勤務はテレワークの形態の一部であり、テレワークの手段として在宅勤務があるのです。
また、テレワークと似ている言葉の1つに、リモートワークがあります。この両者には、大きな意味の違いはありません。
テレワークは、「離れたところ」という意味のTeleと「働く」を意味するWorkが結びついた言葉で、リモートワークは「遠隔で」を意味するRemoteとWorkからできた言葉です。離れたところで勤務するという意味では同じといってよいでしょう。
テレワークで働く場は主に3つ
テレワークには、主に在宅勤務を含めて働く場が3つあります。
- 在宅勤務
- モバイルワーク
- サテライトオフィス勤務
各テレワーク体系の特徴について、働く場やメリットなども含めてお伝えいたします。
在宅勤務
在宅勤務とは、その名の通り在宅で仕事をする勤務体系を指します。
在宅勤務にも、1日中在宅ですべての仕事を終わらせる「終日在宅勤務」と、午前中は自宅で仕事をし、午後からオフィスに出社するような「在宅オフィス併用型勤務」があります。
在宅勤務があることで、通勤時間を他の作業に充てたり、個人で集中できる時間を確保できたりというメリットがあります。
特に、1人で作業することが多いエンジニアやライターなどは、在宅勤務で得られるメリットも大きいでしょう。
モバイルワーク
モバイルワークとは、移動中の新幹線や飛行機などの交通機関や、滞在先のホテルやカフェなどで仕事をする勤務体系です。
出張や、遠方の営業周りが多い従業員に適している働き方といえます。移動中の隙間時間や待機時間を活用して働けるので、業務時間を有効活用できるのがメリットです。
サテライトオフィス勤務
サテライトオフィスとは、勤務先のオフィスから離れた位置にあるオフィスを指します。サテライトオフィスでの勤務も、テレワークの勤務形態の1つです。自社社員のみが専用で使えるタイプのオフィスと、他社の社員と共用で使用できるタイプの2種類があります。
サテライトオフィスの導入は、遠方に住む社員の通勤時間が減少するという従業員側にとってのメリットだけでなく、本社から遠い地域にも拠点を作れるため、企業側にとってもメリットがあります。
テレワークをおすすめする4つの理由
コロナ禍により、在宅勤務をはじめとするテレワークが急速に拡大しました。当初は接触を防ぐ非対面形式での働き方を模索する中で導入されましたが、その他にもテレワークにはメリットがあります。
ここでは、新型コロナウイルスの流行とは関係なく重視できる、テレワークを取り入れるべき以下4つの理由を紹介していきます。
- 従業員のワークライフバランスの改善
- 生産性の向上
- コストの削減
- 人材の確保
テレワークという働き方を導入または継続すべきか判断するためにも、それぞれの理由について確認していきましょう。
従業員のワークライフバランスの改善
従業員側にとっての最大のメリットが、ワークライフバランスの改善です。
在宅勤務を選択できれば、1日の時間の中で多くの割合を占めている通勤時間を削減できます。
なかには、在宅勤務を活用することで、片道1時間半もの通勤時間を削減できる社員もいるでしょう。往復では3時間にもなります。結果的に、家事や仕事の準備をする時間が増え、ワークライフバランスが大きく改善するでしょう。
それにより、家族と過ごす時間が増えたり、心の落ち着く環境で仕事ができたりすることで、これまでの日々のストレスが和らぎ、安定した精神状態を保ちやすくなります。
生産性の向上
各従業員の生産性の向上を期待できる点も、テレワーク導入をおすすめする理由といえます。
来客対応や電話対応など、集団のなかでの雑務が発生しないため、自分の業務に集中して取り組めるという声もあるのがテレワークの特徴です。また、無駄な打ち合わせが発生しにくく、主要業務に取り組める時間が増えることもあります。
特に、1人での集中力が必要な資料作成やコードの記述などの作業をする場合には、静かな環境を実現できるテレワークが、生産性を大きく向上させやすいといえます。
さらに、周りに人がいない環境ではリモートでの打ち合わせがしやすく、営業が1日に何度も顧客との打ち合わせ対応ができるのも生産性向上の一例です。
コストの削減
テレワークの導入は、労働者にとってのメリットだけでなく、雇用者にとってもメリットとなる点が多く存在します。その1つが、コストを削減できることです。
まず従業員が出社しなくてよいので、通勤手当の支払額が大幅に減少します。また、オフィスでの書類印刷や飲み物の準備の必要がないので、揃える備品の数も減るでしょう。
さらに、オフィスに出社する人数を減らせば、必要のないオフィスも出てくるはずです。オフィスのテナント料や水道光熱費を節約することで、よりコストを削減できます。
今までにない人材の確保
オフィスに出社しなくてもよいのであれば、今までは雇用できなかった人材を確保するチャンスがあります。
たとえば、地方の企業だとしても、都内にいる優秀な人材を確保できるかもしれません。逆に、都内の企業が、地方在住でユニークな経歴を持っている人材に出会える可能性もあります。
また、地理的な条件を考えるなら、海外在住の方を雇用できれば比較的簡単に海外進出の機会を創出することも可能です。
さらに、在宅勤務の導入で確保できる人材が、子育て中の女性です。オフィスに出社しての勤務は無理でも、在宅勤務が可能であれば家にいる子供の世話をしながら働ける女性もいるでしょう。
テレワークを導入する際の注意点
ここまで、テレワークの導入によるメリットを紹介してきましたが、テレワークがすべて良い方向に作用するわけではありません。
テレワークの導入には、以下のようなデメリットもあります。
- 社内コミュニケーションの減少
- 長時間勤務などの労務管理が難しい
- 導入できる部門が限られ、社内格差が生まれる
それぞれ解説していきます。
社内コミュニケーションの減少
テレワークを導入することで、社内のコミュニケーションが減少してしまう可能性があります。
対面であれば、コミュニケーションを取ることは簡単です。しかし、テレワークで働いていると、コミュニケーションを取るためにいちいちチャットなどで連絡する手間がかかります。
実際にコロナ禍でのテレワークで、社内のコミュニケーションに問題が発生するケースもあります。その際には、上司とのコミュニケーションロスで精神面の健康状態に問題が生じ、最悪の場合は退職者が出るケースもあります。
メンタル面の問題や日常業務に対するコミュニケーション不足は、生産性を向上させるはずのテレワークに、真逆の現象を発生させることもあるのです。
テレワーク導入の際は、コミュニケーションが減らないような対策をしましょう。
長時間勤務など労務管理が難しい
テレワークによる2つ目のデメリットは、労務管理が難しいという点です。
上司が部下の状態を監視できる状態ではないため、勤務時間に働かない従業員や、勤務時間を過ぎても働いている従業員に気付きにくい状態があります。
在宅勤務の場合、従業員にとっても仕事のオンとオフを切り替えにくくなるのが、自宅という環境です。
マネジメント側にとっても、部下にとっても、生産性が下がる可能性もあるといえます。
導入できる部門が限られ、社内格差が生まれる
オフィスでの勤務が必ず必要な部署もあり、社内で格差が生まれる可能性があることも、テレワークのデメリットの1つです。
特に、顧客と対面で接する必要があるサービス系の職種や、出社している従業員を管理するマネジメント職は出社を求められるでしょう。
社内で不満がたまるとモチベーションに影響するので、それがリスクといえるでしょう。
在宅勤務などのテレワークを活用して働き方を改善
テレワークや在宅勤務は、有効活用できれば、社内の生産性の上昇や利益の拡大につながる働き方改革の一手です。
デメリットに配慮しながら、テレワークを上手に導入し、従業員と企業のどちらにとっても良い労働環境を整えていきましょう。