近年、聞く回数が非常に増えたKGIやKPI。カタカナで伝えられても何を言いたいのかわからない…と思われる方も多いかもしれません。しかし、これらの言葉の意味を理解することで組織が追うべき目標が共通認識として広がることで組織の更なる発展に役立つと思います。本記事では、そんなKPIやKGIについての基礎を比喩表現などを交えながらできるだけ分かりやすくご紹介します。
KGI・KPIとは
では、早速本記事の軸となるKGIとKPIについてご紹介します。初めて聞くとどちらも同じ意味に聞こえてしまうため分けてそれぞれご紹介します。
KGIとは
まず初めにご紹介するのはKGIです。結論から申し上げるとKGIは
’’ビジネスのゴールとなる目標’’のことです。
んん?となる方も多いかと思いますので、例を交えてご紹介します。
■目標数値
・主語:会社
→自社は来年の決済月までに年商を5倍の3,000億円にする
・主語:部署
→今月の新規顧客獲得数は120社
ご紹介したのは目標数値で、明確な数字を示してゴールを示しています。また、その主語は会社でも部署でもよくて、ビジネスでの目標であれば規模は問わないことが多いです。
KPIとは
ではKPIとは何なのでしょうか?その答えは
’’ゴールを達成するための中間目標’’のことです。
こちらも事例をまとめてご紹介します。
■目標数値
・主語:会社「目標(KGI)自社は来年の決済月までに年商を5倍の3,000億円にする」
→目標達成のために半年後にはその半分の1,500億円売上を立てる
・主語:部署「目標(KGI)今月の新規顧客獲得数は120社」
→目標達成のために毎週30社の新規顧客を獲得する
いかがでしょう?前述したKGIを達成するためには何をすればいいのか?の目標数値を示しています。その内容としては
・いつまで
・いくら
・どれくらい
などその業界に応じて臨機応変に設定ができます。
KGI・KPIの悪い例
KGIやKPIを定める上で重要なのは、目標数値を設定することです。理由は、目標が数値ではないと抽象度が高く成果判断ができないからです。
少し分かりにくいと思うので、悪いKGIとKPIの例をご紹介します。
【KGI悪い例】
■目標数値
・主語:会社
→業界でのブランドイメージを高める
・主語:部署
→雰囲気のいい営業だと思ってもらう
いかがでしょう?
ブランドイメージを高めることが目標である場合、どのくらい?どう判断する?誰が言ったらそうなるの?というようにその定義が難しいと思います。また、このようなKGIを設定することでKPIもブレブレになると思います。おそらく上記のようにKGIを設定するとKPIは以下のようになるでしょう。
【KPI悪い例】
■目標数値
・主語:会社「目標(KGI)業界でのブランドイメージを高める」
→適度に広告を出す
・主語:部署「目標(KGI)雰囲気のいい営業だと思ってもらう」
→声を高くする
これではもはや行う必要はないですよね。このように何をすればいいのか分からないと組織の混乱を防ぐために目標数値が必要になります。
では、KGI・KPIはなぜ必要なのでしょうか?
なぜKGI・KPIが必要?
KGI・KPIが必要な理由は大きく分けて3つあります。
それは
①アクションプランまで落とし込むことができる
②ゴールを定めることで組織力を高めることができる
③評価基準を作ることができる
です。
それぞれご紹介します。
アクションプランまで落とし込むことができる
これがKGIやKPIを設定する最も大きなメリットです。
アクションプランへ落とし込むまでの流れは下記の通りです。
①KGI(ビジネスの目標を定める)
→自社は来年の決済月までに年商を5倍の3,000億円にする
②KPI1(目標達成のための中間目標)
→半年後にはその半分の1,500億円売上を立てる
③KPI2(目標達成のための中間目標)
→月商2,500万円を目指す
④KPI2達成のためのアクションプラン(そのために何をすればいいのか)
→営業の人数を増やす
商材の価格を上げる
新規顧客30社獲得
⑤アクションプランをさらに分解(そのために何をすればいいのか)
→求人を出す
3,000円の値上げ
販路を広げる
と目標達成のために何をすればいいのか?が明確になります。これにより、従業員への指示出しが明確になります。
ゴールを定めることで組織力を高めることができる
これは従業員は何のために業務を行っているのか?どうなればこの事業は成功したと言えるのか?を伝えるために行います。
例えば上述した事例を参考にすると
①KGI(ビジネスの目標を定める)
→自社は来年の決済月までに年商を5倍の3,000億円にする
②KPI1(目標達成のための中間目標)
→半年後にはその半分の1,500億円売上を立てる
③KPI2(目標達成のための中間目標)
→月商2,500万円を目指す
従業員は、年商3,000億円を達成するために毎月月商2,500万円を目指そう!と共通認識が生まれ自然と数字を追うようになると思います。
もし、これが無かったり抽象度が高い場合下記のようになるでしょう。
①KGI(業界でのブランドイメージを高める)
→適度に広告を出す
②KPI1(目標達成のための中間目標)
→声を高くする
これでは、すぐに目標が達成されてしまい従業員はすでに目標はクリアしているからいいでしょとなってしまいますし、どこを目指すのかが分からなくなってしまいますよね。それにより組織力が低下し会社の売上低下などに繋がるかもしれません。
評価基準を作ることができる
これは、従業員のお給料周りの納得感を与えるために必要です。
例えば、下記のような目標とノルマがあったとします。
①KGI(ビジネスの目標を定める)
→自社は来年の決済月までに年商を5倍の3,000億円にする
②KPI1(目標達成のための中間目標)
→半年後にはその半分の1,500億円売上を立てる
③KPI2(目標達成のための中間目標)
→月商2,500万円を目指す
④KPI2達成のためのアクションプラン(そのために何をすればいいのか)
→営業の人数を増やす
商材の価格を上げる
新規顧客30社獲得
⑤アクションプランをさらに分解(そのために何をすればいいのか)
→求人を出す
3,000円の値上げ
販路を広げる
⑥あなたのノルマ(アクションプランを個人業務に分けた場合)
→月5社の新規顧客獲得(売上は300万円)
この月5社の新規顧客獲得(売上300万円)が達成していたかしていなかったで評価の軸ができます。もちろん、無理なノルマを課すのはかえって悪影響ですが判断基準があるのかないのかでは従業員の納得度合いが違うと思います。
これにより、従業員がほどよく数字を目指し納得しあえる労働環境が築けるのではないでしょうか?
職種・業種別のKGI・KPI事例
では最後に職種・業種に分けてKGIとKPIの設定事例をご紹介します。
ぜひ、自社でご設定する際の参考にしてみてください。
営業
■KGI
・売上
・新規顧客獲得数
などが主なKGIになるでしょう。
■KPI
・アポイント取得率
・商談数
・獲得顧客単価
・成約率
・リピート率
などが主なKPIでしょう。
■これにより落とし込みたいアクションプラン
・アポ獲得、商談数のノルマ設定
・成約率目標ノルマ
・商品ラインアップの再検討
などだと思います。
製造業
■KGI
・売上
・製造数
などが主なKGIになるでしょう。
■KPI
・原価率
・人件費コスト
・不良品割合
などが主なKPIでしょう。
■これにより落とし込みたいアクションプラン
・仕入れ商品の見直しによる原価見積もり
・人件費カットのためのシステム導入
・システムのアップグレード
などだと思います。
飲食業
■KGI
・売上
・来客数
などが主なKGIになるでしょう。
■KPI
・減価率
・席稼働率
・顧客単価
・来店頻度
などが主なKPIでしょう。
■これにより落とし込みたいアクションプラン
・仕入れ先の変更
・席の大きさまたは席時間の指定
・セット商品の販売
などだと思います。
事例まとめ
どれも共有していえるのは、目的(KGI)達成のために、中間目標(KPI)があること。
そして、中間目標(KPI)が明確なことで何をすればいいのか?が分かりやすいと思います。このKGIやKPIを立てることを目的にせず、これにより今何をすればいいのか?を導くことを意識して作成するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
KGI、KPIを記事にすることで筆者が表現したかったのは目標を数字で明確に設定することで組織力を高め、目標達成のために何をすればいいのか?を明確にすることの重要性です。もし、目標がまだはっきりと決まっていない場合、組織、そして従業員のために目標設定をしてみてはいかがでしょうか?