企業の長期的な成長には欠かせない新卒の採用。
2019年までは、「超売り手市場」と言われていた新卒採用市場。
新型コロナウィルスにより「超売り手市場」から「買い手市場」に変化したと言われてしますが、果たしてどれくらい変化したのか?そして、市場が変化したことで今後引き起こることについてご紹介します。
求人数は減り、就職希望者の数は増えている
はじめに、中小企業の新卒採用における基本情報をご紹介します。株式会社リクルートホールディングスが行った2021年卒の大学生・大学院生を対象とした調査で以下のデータが集計されました。
求人総数は、前年の80万4700人から12万1700人減少し68万3000人となりました。一方、就職希望者数は前年比7600人増の44万7100人となっております。また、2020年8月1日時点での就職内定率は81.2%となっています。これは前年よりも10%低い数字となっております。
この数値からも明らかに「超売り手市場」から変化し始めているといえるでしょう。特に、求人数の減少は顕著に現れており、新型コロナウィルス治療薬が開発されたとしてもすぐに求人数は元に戻るまでには時間がかかるでしょう。
学生の就活に対する意識は、数字以上の変化をしている
次に、学生の意識はコロナウィルスによる求人数の減少でどんな変化があったのでしょうか。
NHKが運営する就活応援ニュースゼミによると、就職活動が「売り手市場」だと考える学生が55.8%減少したというデータがあります。
つまり、就職を考えている大学生は、「就職先をどこにするか?」という思考から「そもそも就職できるか?」という思考に切り替わったと思われます。
求人数の減少が顕著に現れていく中、学生は今後より就職活動に焦りを覚えるでしょう。そんな中、企業は採用活動において何を意識すればいいのでしょうか?具体例をもとにご紹介します。
中小企業は今こそブランディングに力を入れるべき
学生の就職活動における意識が変化したことでどんな変化が起こるのでしょうか?NHKが運営する就活応援ニュースゼミによると、前年の学生に比べエントリーを増やすようになりました。実際にエントリーが、前年比で「増えた」と答えた企業が38.2%。「減った」と答えた企業(34.9%)を3.3ポイント上回っています。
つまり、学生は自身が就職したいと思う企業を限定していくのではなく、応募の母数を増やしているといえます。企業としては、学生のエントリー母数は増えるものの、学生の質は低下すると思われます。
そのため、今後の課題としては「いかにして応募母数を増やすか」よりも「優秀な学生にどうやって応募してもらうか」に移行すると思います。そのためには、優秀層の学生が就職したいと思う企業文化を作ったり、ビジョンを共有したりと企業のブランディングに力を入れるべきだといえます。
キャリタス就活2022学生モニター調査結果によると、就職先企業を選ぶ際に重視する点では、このようなランキングになっています。
1位 | 将来性がある |
2位 | 給与・待遇がいい |
3位 | 福利厚生が充実している |
4位 | 社会貢献度が高い |
5位 | 職場の雰囲気が良い |
このように将来性や社会貢献度が上位となっているのはコロナ禍で就活をしている学生だからこそと考えられます。
他にも、給与・待遇や福利厚生、職場の雰囲気など今の何を行っている会社かよりもどんな環境で誰と業務を行うかの方が大事になっていると考えられます。企業のブランディングを行うにはこの点に注意するといいかもしれません。
最後に ~まとめ~
コロナウィルスにより、売り手市場という常識が崩れかけている現在。
企業は、いかにして優秀な学生に就職してもらえるのかが、最も大きな課題に変化してくると思います。
そのためにも、早くから優秀な学生が就職したいと思える企業文化を作りあげることが重要だと思います。
<参考>
NHKが運営する就活応援ニュースゼミ
株式会社リクルートホールディングスが行った2021年卒の大学生・大学院生を対象として調査
22卒学生の1月1日時点の就職意識調査 ~キャリタス就活2022 学生モニター調査結果(2021年1月)