当たり前が通じなくなってきている昨今。それは事業活動においても同じです。人々の生活スタイルが変化するのと同じく、消費者の購買活動も変化を続けています。売上が停滞していたり低下している企業は、顧客ニーズに適切な商品を適切なタイミングで届けられているのか?をこのタイミングで行うことで変化した顧客ニーズに対応し売上の改善が見込めるかもしれません。本記事ではそんな顧客ニーズ調査の重要性と手段やツールについてを初めて顧客ニーズ調査を行う経営者の方へ向けてご紹介します。
顧客を知ることはなぜ重要なのか
まずご紹介しておく必要があるのは、
’’なぜ顧客ニーズを知ることが重要なのか?’’
についてでしょう。
結論として、顧客を知ることが重要な理由は
・お客様が欲しいと思っている商品やサービスを届けることでお金をいただける
・お客様がいつ、どこで、なぜ、どうやって自社を認知したのかを知ることで適切な販売活動が行うことができ、より多くのお客様に自社商品を購入してもらえる機会を作れる
・お客様がほしいと思う商品やサービスを提供することで再来店に繋がる
など、事業を拡大するための資金繰りに重要だからです。
これをよりコンパクトに分かりやすくまとめると
「こんな商品があったなんて知らなかった…」
「もっと早く知っていれば買っていたのに…」
「セットであんな特典があれば買いたい…」
「あんまり欲しいと思う商品がなかったからもう来なくていいや」
などのタイミングや顧客ニーズとのミスマッチによる’’機会損失’’を防ぐためには顧客を理解する必要があります。
その内容はよく4W1Hでまとめられ
いつ(When)
どこで(Where)
誰が(Who)
何を(What)
どのように(How)
この内容を社会情勢などの外部環境に合わせてリアルタイムな情報を知っておくべき必要があります。
そして、そのニーズを知ることで
’’自社はより適切な顧客に選んでもらうにはどんなサービスでどんな方針で運営すればいいのか?の舵取りを撮ることができる’’
ようになるわけです。
昨今はどのように顧客ニーズは変化したのか
では、なぜ今改めて顧客理解を深めるためにニーズを調べる必要があるのでしょうか?
理由は2点です。
・インターネットの普及により購買行動に変化が生まれている
・新型コロナウイルスによりさらにオンライン上で完結する行動に拍車がかかり求めるニーズにも変化があった
からです。
それぞれご説明します。
インターネットの普及により購買行動に変化が生まれている
この変化については、かの有名なコトラー博士もおっしゃっていますが、スマートフォンの普及により消費者は様々な情報を持つようになり、口コミやSNSで相対的に商品や企業を評価し納得した時に購入というアクションを起こすようになりました。
分かりやすい例をあげると賃貸を扱う不動産会社がいい例だと思います。
一昔前は、言い値での価格交渉や、実際に足を運んで不動産会社が主導権を握って物件の提案などを行っていました。しかし、今はいかがでしょうか?
賃貸紹介サイトで、価格が事前に表示されるようになり、不動産会社は価格競争に負けないようギリギリの価格で物件情報を公開するようになり言い値は通用しなくなりました。さらにテクノロジーを利用したオンライン内見なども発明され賃貸探しも今ではオンラインで完結をしてしまう時代です。
もし、この時代に
・少しでも利益を出すためにちょっと高めに家賃設定をしておく
・実際に足を運んでもらう内見しかしない
などをしていては顧客にとって手間になり選ばれることはないと思います。このようにインターネット普及によりより手軽に購買体験ができる環境が求められています。
新型コロナウイルスにより消費行動が変化
2つ目の理由は、新型コロナウイルスの普及でオンライン化にさらに拍車がかかったことと、そしてニーズにも大きな変化が起こりました。
前者のオンライン化の加速については前述したため割愛し、後者の顧客ニーズの変化についてご紹介します。
結論として’’リモート主体のニーズに変化した’’ことでしょう。
まず旅行や外食、ファッションに気を使う人は激減したと思います。出かけることが少なくなったため服に気を使うことがなくなりましたし、旅行や外食に関しては行ってはいけないという意識が強いと思います。
その反面、自宅をどう快適に過ごすか?というニーズの優先度が上がっていると思います。
そのため、これまでファッションに使っていたお金はリモートワーク用の仕事周りの設備購入費に回したりしていると思います。
もし今外出前提のサービスを提供しても成果が見込めないことは誰でも分かりますよね。
以上のことから顧客の
いつ(When)
どこで(Where)
誰が(Who)
何を(What)
どのように(How)
を理解し求められている商品やサービスを提供するために顧客ニーズを調査する必要があると思います。
調査手段は何がある?
では、実際に調査をする手段にはどのようなものがあるのでしょうか?
結論から申し上げると
・定性調査
・定量調査
という2つの調査方法で構成をするべきです。
それぞれには特徴があるため、詳しくご紹介します。
定性調査
初めにご紹介する定性調査とは、より深い顧客ニーズを理解するための調査手法です。
といっても分かりにくいと思うので、具体的な例をご紹介します。
飲食店の利用頻度をテーマに調査を行うとしましょう。
定性調査ではモニターと呼ばれる調査対象の方へ
Q.新型コロナウイルス蔓延前と後では飲食店の利用頻度は変化しましたか?
A.変化しました。
↓
Q.どのくらいの回数変化しましたか?
A.蔓延前は週2回は外食していましたが今は月1回です。
↓
Q.それはなぜですか?
A.感染リスクを抑えるためです。
など、徹底的にWhyを繰り返し本音や本質を探そうとする調査手法となっています。
以上のことから定性調査の特徴や目的を整理すると
■特徴
・少人数(5人など)の顧客に対して本音を引き出すための質問をする
・調査に時間がかかる
・質問をする人の質問力で回答内容が変化してしまう
■目的
すでに利用している顧客の潜在的ニーズを調査する
■手段
zoomなどで対面のヒアリング
となります。
定量調査
では定量調査とはどのような調査のことをいうのでしょうか?
定量調査は、大多数のニーズを幅広く調査するために行います。
こちらも具体例を定性調査と合わせて飲食店の利用頻度に関する調査で調べます。
定量調査ではモニターと呼ばれる調査対象の方へ
Q.新型コロナウイルス蔓延前と後では飲食店の利用頻度は変化しましたか?
A.変化しました。
↓
Q.テイクアウトと店内飲食はどちらが好みですか?
A.店内飲食です。
↓
Q.利用する飲食店に変化はありましたか?
A.変化がありました。
など、より多くの人の変化を調べるために行います。
以上のことから定量調査の特徴や目的を整理すると
■特徴
・大人数(100人など)の顧客に対して顕在ニーズを調べるために行う
・調査は比較的短時間で終わる
・質問構成によって回答内容に変化がある
■目的
すでに利用している顧客の顕在的ニーズを調査する
■手段
アンケートの配布など
となります。
調査手順は?
では調査手法を理解した上で、どのような手順を踏んで調査活動を行えばいいのでしょうか?
結論としては、目的を定義した後その回答の信憑性やどれくらいの規模の人に当てはまるのか?というすり合わせを行うイメージで行えばいいと思います。
具体的な流れをご説明すると
①調査目的の設定
②モニター(調査対象)の確保
③調査手段・ツールの準備
④定性調査
⑤定量調査
となっています。それぞれ簡単にご紹介します。
調査目的の設定
初めに決める必要があるのは調査目的でしょう。どんなことを調査したいのかを明らかにする必要があります。それは自社の課題をベースに考えることをオススメします。例えば、売上が停滞しているという課題があるとして、その原因は何か?という流れです。
そしてその原因を仮説で分けて、最重要課題を定義します。売上減少を例にあげると顧客単価が下がったなとです。課題から最重要課題を定義し、その原因を探るために調査を行います。
また、ここで誰に調査を行うか?も明確にしましょう。今回でケースだと、すでに自社を新型コロナウイルス蔓延後に利用したことがあるお客様となるでしょう。
モニター(調査対象)の確保
続いて行う必要があるのは、調査対象となる人たちの確保でしょう。目的で対象とした例で紹介すると自社を新型コロナウイルス蔓延後に利用したことがあるお客様となります。この方々を集める必要があります。
・メルマガ
・LINE@
・SNS
・店頭告知
などで、募集を募るといいでしょう。
また、調査対象は回答内容を左右するため非常に重要な役割を果たします。本当に目的にあった人なのか?をしっかりと審査するようにしましょう。
調査手段・ツールの準備
次に行うのはどのような手段で調査を行うのか?を決めるということです。
アナログな手段だと、店舗で対面で行うなどがありますが、この時期だとzoomなどのツールによる調査の方がモニターを集めやすいでしょう。
また、後述しますが調査ツールなどもありますのでそのようなツールを利用するのも手段としてあります。
定性調査
手段が決まれば調査開始です。初めに行うのは定性調査でしょう。
定性調査はモニターの潜在ニーズを見つけるための調査です。徹底的にWhyで質問をしましょう。定性調査を行うゴールは「自社が知り得なかった顧客ニーズを引き出すことです。」
今回の例をあげると新型コロナウイルス蔓延後で顧客単価が下がった理由は、経済の停滞で将来が不安になり毎月5,000円多く貯蓄に回すことになったなどがゴールとして定義されるかもしれません。
定量調査
最後は定量調査です。ここでは定性調査での回答をもとに質問構成を考えると適切な質問が可能になります。ゴールは「多くの顧客の顕在ニーズを把握すること」です。
今回の例をあげると、貯金額が増えて自社に使う金額が低下したという意見を参考に
・貯金額は毎月何円増えたか?
・変わらず購入を続けている商品は何か?
などのアンケートを配布し、顧客の40%は貯金額が3,000円増加し、ヘルスケアに対する支出は変化しないなどの答えを導き出すことなどががゴールとなります。
定義としては、目的である課題の原因がどれだけ具体的に導け出せたか?で評価をするようにしましょう。
顧客調査事例
続いてご紹介するのは、顧客調査をどのような企業が何の目的の元行っているのか?をご紹介します。自社と照らし合わせご覧ください。
株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
■定量調査:来場者調査(手段や内容は不明)
■定性調査:テーマを決めたグループインタビュー
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントでは、定量調査と定性調査を定期的に行っているようです。定量調査は、独自に毎月1回行っているそうで渋谷でファッション販売という特性上ニーズの変化には臨機応変に対応する必要があるからだそうです。目的は、変化し続けるファッショントレンドの変化を理解し対応していくためだそうです。
定性調査は、調査会社と協力して行っているらしく内容は化粧男子などのテーマを決めてその内容についてグループインタビューを行っているらしいです。定性調査はすぐに成果が出るものではないものですが、定性調査を行うからこそ生まれる言葉、コピー(キャッチコピー)があるとのことでした。
参考:定量調査と定性調査のどちらも行う意味は「顔」が見えるデータを得ること
株式会社池田模範堂
■定量調査:不明
■定性調査:自社商品利用者と競合他者商品利用者へのグループインタビュー
株式会社池田模範堂では、自社商品利用者と競合他者商品利用者への同じ質問のグループインタビューを行ったそうです。共通項をいくつか出しいずれのユーザーが感じる本当の悩みを見つけることが目的だったそうです。そのニーズを広告に反映させ自社の売上向上に勤めたそうです。
オススメの調査分析ツール
では最後にオススメの調査分析ツールをご紹介します。
中小企業でも手軽に低コストで導入できるサービスをご紹介します。。
初めにご紹介するのは定性調査を実施できるツールです。
定性調査は、調査したい対象のモニターが見つかるか?が鍵となります。
そのため、モニターがどれだけ詳細に絞り込みできるか?をもとに筆者がオススメするサービスをご紹介します。
Sprint(スプリント)
Sprintは、モニターを様々な粒度で絞り込みが可能なサービスです。また、チャット形式で手軽に行えることが魅力のサービスです。従来の定性調査だと直接お会いするため言いづらいことがあったり、本音を話しづらいという課題がありましたが、チャット形式のため言いづらいことも言いやすいという特徴があります。他にも従来かなりの工数がかかる定性調査ですが、最短5分でモニターを獲得し調査まで短時間で行えることが特徴です。
続いてご紹介するのは定量調査を実施できるツールです。
定量調査は、対象となるモニターをどれくらいの数確保できるか?が重要になるためモニターの確保数を参考に筆者がオススメするサービスをご紹介します。
ネオマーケティング
ネオマーケティングは639万人のモニターを有するマーケティング会社です。定量調査を行える会社の中でも上位のモニター数です。また、他社よりも低価格で定量調査を実施できるのが強みです。年間2,500件の実績もあるため初めて定量調査を依頼するという企業にオススメです。
参考:ネオマーケティング
まとめ
いかがでしたでしょうか。
顧客ニーズを適宜調査することの重要性。そして、どのような調査手法があるのか?の参考になれば幸いです。
大きな変化があった昨年。東京オリンピックの有無でさらに消費者に変化がありそうなので顧客ニーズを調べようという考え方は常に意識しておくことで、臨機応変に変化でいる企業になれそうですね!