中小企業の経営の強い味方である補助金と助成金。
年間、5,000種類以上の補助金・助成金が発表されていますが、実は認知度が低く、あまり活用されていません。
そこで今回は、中小企業の経営者が活用できる補助金・助成金にはどのような種類があるのか、分かりやすく解説します。
補助金・助成金の申し込み方法についてもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
補助金と助成金、その違いとは
補助金と助成金は、どちらも事業者に対してお金を支給する制度です。したがって、同じものだと思っている人もいるかもしれませんが、補助金と助成金には違いがあります。
まず、補助金とは、国や地方自治体が政策目標に沿った事業を行う事業者が応募し、審査を通った際に支給されるお金であり、助成金とは、雇用や人材育成、研究開発などに対して、一定の条件を満たせば支給されるお金のこと。
また、補助金は経済産業省や地方自治体が干渉しているものが多く、その財源は税金であるのに対し、助成金は厚生労働省や自治体が干渉するものであり、その財源は雇用保険料です。
つまり、目的や管掌機関、財源において、違いがあるといえます。
知っておきたい補助金・助成金の種類
中小企業を支援する補助金・助成金には
- 販路拡大支援
- 設備導入支援
- 創業支援
- 事業の継続支援
- 専門家の活用支援
- 商品・サービスの開発支援
- 人材確保や人材育成の支援
などがあります。
1つずつみていきましょう。
販路拡大を支援する補助金・助成金とは
販売拡大を支援する補助金・助成金は、販路を拡大する企業にその費用の一部を補助するものです。
具体的には次のようなものがあります。
- 小規模事業者持続化補助金
- ウェブを活用した販路拡大支援助成金
- 共同・協業販路開拓支援補助金
例えば、札幌市には「食の販路拡大チャレンジ支援補助金」という制度があります(*1)。この補助金の上限額は30万円です。
「誰が」この30万円を受け取ることができるのかというと、北海道産の食品の輸出や飲食店の海外出店に取り組んでいる、またはこれから取り組む、札幌市内、小樽市内、函館市内の中小企業です。
「どうすれば」30万円を受け取ることができるのかというと、ECモールに出店したり、ECサイトを構築したり、食のイベントに参加したりして、経費がかかった場合です。
この2つの条件をクリアできれば、その経費の3分の2の額か、上限30万円のいずれか少ないほうを補助金として受け取ることができます。
*1:http://www.city.sapporo.jp/keizai/tradeinfo/food/subsidy/challenge.html
設備の導入を支援する補助金・助成金とは
設備の導入を支援する補助金・助成金は、企業に設備投資を促す目的の制度です。
具体的には次のようなものがあります。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 業務改善助成金
設備導入支援の補助金・助成金として、松江市の「設備導入支援事業補助金」を紹介します(*2)。
この補助金の対象者は、松江市内に事業所を有する、製造業の中小企業です。
補助対象になる事業は、市内の事業所に工作機械などの設備を導入する事業であり、補助金の額は、工作機械などの取得価額の10分の1か、上限200万円のいずれか少ないほうとなります。
*2:http://www1.city.matsue.shimane.jp/jigyousha/sangyou/kigyou/index/setsubi.html
創業を支援する補助金・助成金とは
創業を支援する補助金・助成金は、起業や会社設立などを促す制度です。
例えば、次のようなものがあります。
- 地域創造的起業補助金
- 研究開発型スタートアップ支援事業
- シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援
起業や創業は経済活性化の起爆剤になるので、企業・創業のフェーズごとに補助金・助成金が用意されています。
事業の継続を支援する補助金・助成金とは
事業の継続を支援する補助金・助成金は、破綻を予防する効果が期待できます。
例えば、小規模事業者持続化補助金がそれに当たります。
景気の波に翻弄されやすい中小・零細事業者向けの事業継続関連の補助金・助成金は、不景気や経済危機が起きたあとに新設される傾向にあります。
専門家の活用を支援する補助金・助成金とは
中小企業の場合、外部の専門家の意見を聞くことでブレークスルーを実現できることがあります。
専門家の活用を支援する補助金・助成金には
- 外部専門家活用助成
- 専門家活用支援事業
などがあります。
商品・サービスの開発を支援する補助金・助成金とは
商品・サービスの開発を支援する補助金・助成金は、開発費の捻出に困っている企業に役立つものであり、次のような制度があります。
- JAPANブランド育成支援等事業
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
人材確保や人材育成を支援する補助金・助成金とは
人材確保や人材育成を支援する補助金・助成金には次のようなものがあります。
- 人材確保等支援助成金
- 企業内人材育成推進助成金
こうした制度を使うことで、会社の担い手を育成することができます。
補助金・助成金を獲得するには
補助金・助成金を獲得するには、まず、補助金・助成金の募集要項を確認しましょう。
ここでは、経済産業省の「IT導入補助金2020」を例に、補助金を受給するまでの流れを解説します(*3)。
ステップ1:サイトで概要を把握する
すべての補助金は、国などのサイトに概要や申請方法が掲載されています。まずはそのサイトを熟読しましょう。「IT導入補助金2020」のサイトはこちらからアクセスすることができます。
ステップ2:IT導入支援事業者とITツールを選ぶ
概要を把握したら、次に、IT導入を支援してくれる事業者と自社に導入したいITツールを選びます。
ステップ3:「gBizIDプライムアカウント」を獲得する
補助金を申請するために、「gBizIDプライムアカウント」を獲得します。
ステップ4:事業計画書をつくり、申請する
IT導入支援事業者と一緒に事業計画書を作成し、「gBizIDプライムアカウント」を使って、サイトから申請します。
ステップ5:審査と交付決定
申請後、審査が行われます。
補助金の交付が決まると、ITツールの発注、契約、支払い、納品をすることができます。
ステップ6:事業実績報告
ITツールの納品と支払いが終わったら、証憑を添付して事業実績報告を行います。
この報告もサイトで行ないます。
ステップ7:補助金交付手続き
事業実績報告が完了すると、補助金の額が確定します。申請者がサイトで補助金額を確認後、補助金が交付されます。
ステップ8:事業実施効果報告
補助金交付後は、補助金によって生まれた効果を「事業実施結果」として報告します。
「補助金」は、「受け取って完了」ではなく、効果を報告する必要がある、ということを覚えておくと良いでしょう。
*3:https://www.it-hojo.jp/procedure/
まとめ
年間、5,000種類以上発表される補助金や助成金。
補助金・助成金を得ることは、企業の経営強化の一助になります。
企業の経営者は、自社が活用できる補助金・助成金を知り、積極的に活用していくといいでしょう。
<参考>
補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。