新型コロナウイルスの影響により仕事のオンラインコミュニケーションが一気に普及した事で、職場のメンバー同士の会話は減り部署メンバーの顔やコンディションの把握が難しくなっています。
そんな今だからこそ、職場の従業員のコンディションを意識的に可視化する取組みが注目されています。
本記事では、
・従業員満足度調査とパルスサーベイ(コンディション把握サービス)の違いとは?
・パルスサーベイを導入するメリットとは?
・サービス導入のデメリット、うまく行かないケースとは?
・パルスサーベイサービスの紹介
について紹介します。
仕事の仕方そのものの変化により従業員のコンディション把握に悩む経営者のご参考になれば幸いです。
従業員満足度調査とパルスサーベイ(コンディション把握サービス)の違いとは?

昨今、従業員への働く環境への意識の高まりにより従業員満足度調査(Employee Satisfaction)は着目され、多くの企業が導入しています。
しかし、一般的な従業員満足度調査はオフィス環境や人事制度、組織内の人間関係、仕事内容への満足度など、多くの項目を調査する事が多いです。
そのため設問数が50問以上、多い場合は200問程度まで増える事もあり、従業員にとっては大きな負荷を与える事となります。
その結果、従業員満足度調査は年に一度の実施となり、従業員の離職の傾向やタイミングを把握できないという課題がありました。
そこで従業員の心理的変化に着目し、高頻度で質問を実施する代わりに一度の設問数を減らす、パルスサーベイ(コンディション把握サービス)が注目されています。
・従業員満足度調査とは、低頻度 × 高負荷 = 組織課題抽出
・パルスサーベイとは、 高頻度 × 低負荷 = 個人コンディション抽出
パルスサーベイを導入するメリットとは?
前の項でも書きましたが、パルスサーベイの魅力は従業員の現在の心理的、肉体的状態を短い期間に把握することができるという点です。
離職の兆候が把握するできると対象者への適切な支援を行う事ができるようになります。
また、仕事や職場に対して熱量の高い従業員を把握する事も可能です。
サービス導入のデメリットや、うまく行かないケースとは?
ここではパルスサーベイ導入によるデメリットやうまく行かないケースを紹介します。
パルスサーベイ導入によるデメリット
① パルスサーベイだけでは根本的な課題解決にはならない
パルスサーベイとは、あくまでも従業員のコンディションを把握するツールです。
コンディション悪化をもたらす課題を正しく洗い出して解決しなければいけません。
従業員満足度調査などの組織課題を特定する大規模調査と併せて実施する事が望ましいです。
② 最安でも50-100万円程度(従業員100名程度の企業の場合)の費用が掛かる
パルスサーベイ自体は連続的に実施して従業員の心理変化を確認する事で価値が生まれるサービスです。サービスごとに課金形態は異なりますが100名程度の企業の場合で月額7-10万円程度が発生します。
パルスサーベイ導入後にうまくいかないケース
① パルスサーベイの目的や意義を従業員に説明していない
設問数が少ないとはいえ、従業員からするとほぼ毎月実施する事が求められるものです。できれば経営者からの発進で実施する目的や意義を説明しないと正しく、情報収集できません。
② パルスサーベイの情報開示範囲を従業員に正確に伝えていない
従業員の立場では上司や会社に逆らうような発信ができない(本音で書けない)ケースが多く存在します。パルスサーベイで本音を記入しないことほど無駄な事はありません。多くのパルスサーベイでは従業員回答内容の開示範囲を指定する事ができます。
直接の上司に自分の状態を伝える事が難しそうな関係性の職場では、役員以上のみが解答内容を閲覧できるようにする等、解答内容の開示範囲を従業員に伝える事が重要です。
③ 取得したデータを活用していない
せっかくコンディションが悪い従業員を把握しても、対象者へのケアやサポートを行わなければ意味がありません。言うは易しではありますが、これがうまく出来ていない会社が想像以上に多いです。人事部が対象者と面談を行うなど、迅速な対応が必要です。
④ アルバイトスタッフが多いなど従業員入れ替わり頻度が高い
パルスサーベイの一般的な実施頻度は多くても月に2回程度(2weekおき)です。アルバイトスタッフの場合、数日働いて辞めてしまうようなケースも存在するため、サーベイシステムへの配信対象者の登録頻度が増える事がデメリットです。
また、基本的にはアンケートURLはメール送信が一般的なためメールアドレスを保有していない従業員への展開方法は個別検討が必要です。
パルスサーベイで特徴的なサービス5選

Geppo(ゲッポウ)
サイバーエージェント社で3年間運用され、いくつもの実績を残している組織診断ツールをベースに、リクルート社の人材事業ノウハウを結集したサービスです。
3つの質問×5段階の天候による選択肢で、直感的かつ低負荷での運用が可能なサービスで、パルスサーベイの先駆け的なサービスです。
自由設問で従業員アンケートを行う事も可能です。
個人コンディションだけでなく組織コンディションを把握する機能もあります。
jinger ワークバイタル
NEO Career社が運営する人事管理システムのシリーズの一つです。1ユーザーあたり300円となており完全従量課金型である点が特徴です。また、その他の人事管理システム(勤怠や評価)も使っている企業の場合、データ連携ができる点もメリットです。
Emotion Tech(エモーションテック)
https://www.emotion-tech.co.jp/
Emotion Tech社が運営するサービスでは、会社に対するロイヤリティ(eNPS)
に着目し、同社が保有するeNPSの特許技術を活用した設問設計が特徴です。
アンケート回答では、事前に設定した回答内容が上がると人事部へのアラート連絡をする事ができる点も特徴です。
これにより迅速な従業員へのフォローが可能となります。
wevox(ウィーボックス)
ビジネスパーソン向けのマッチングアプリなどを提供している:Atrae社が提供するサービスです。
先に紹介しているGeppoやjingerワークバイタルよりも設問数が多い(回答時間約3分)分、従業員事の満足度を図る事が可能です。そのため、従業員によるリクルーティング活動(リファラル採用)の促進にも活用可能なサービスです。
また7カ国言語に対応可能なサービスの為、多国籍の従業員を抱える企業にはオススメです。
ラフールサーベイ
こちらは従業員満足度調査(141項目のスタンダードサーベイ)がメイン機能ですが、高頻度×低負荷なパルスサーベイ(19項目のショートサーベイ)が有るというサービスです。
ただし低負荷と言っても19項目の為、月1回が限界と考えて良いでしょう。
料金体系は30人までのミニマム価格でも14,800円~と他サービスに比べて高く見えますが、従業員満足度調査(141項目のスタンダードサーベイ)が年2回受けられるサービスもついている為、新たに従業員満足度調査も行いたい、という企業にはオススメのサービスです。
まとめ
人口減少の日本において従業員のコンディション把握と適切なタイミングでのサポートはより重要なものになってきています。
本日紹介したサービスは即座に開始可能なものが多いですが、正しい情報取得を行うために経営からのメッセージと合わせた実施が成功の秘訣とも言えますので、ぜひ合わせて検討してみてはいかがでしょうか。